斐太猪之介著「オオカミ追跡18年」


4月に岐阜の徒然舎で購入した斐太猪之介著「オオカミ追跡18年」を読了。
こりゃ奇書であった。まさに奇書。
ニホンオオカミが昔から好きで世界中に3体しかない剥製、上野にある国立科学博物館和歌山大学、それとオランダのライデン博物館にある剥製と全部見ている。
科学博物館のは標本の作り方がもうひとつでオオカミっぽくないが、上野に行くと時々オオカミ詣でと称して挨拶には行く。
だからこの本を徒然舎で目にした時には買うしかなかった。いささか高かったけど買うのに躊躇はしなかった。
購入した時、京都の善行堂さんがおられて「オオカミ好きなんやったら今度大文字山で捕まえとくわ」と云われたのを微笑ましく思い出す。



朝日新聞の記者である著者が目撃情報を元に奈良の大台ケ原山系に分け入りオオカミを追跡するのだ。自然描写が素晴らしく、それだけでも読んでよかったと思えるのだが
この本が出版された1970年当時、複数のニホンオオカミが生存していると著者は言い、現に周囲に何度となくオオカミはその痕跡を残すのだった。
オオカミ達がその頃までいたんだ!!と興奮する。だがしかし、著者は同じトーンで狸に化かされた話も書くのである。なんじゃらほいの霧の向こうにオオカミは狸達と共に姿を消した。


■西田智著「ニホンオオカミは生きている」
http://d.hatena.ne.jp/sampodow/20070908
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