与那原恵著「サウス・トゥー・サウス」

与那原恵さんの「サウス・トゥー・サウス」を再読した。
今週末に参加する横浜白楽のTweed Booksさんでのイベント「ひとつき10冊」の1冊にしようと云う思いと共に、来週末西荻忘日舎でこの本の読書会が開かれるからだ。



冒頭の成子坂上にあった沖縄料理「壺屋」の話しが素晴らしい。
沖縄に係わる人々の章もいい。なかでも藤田嗣児が素敵だ。
奄美諸島トカラ列島に旅する話しもいい。
私は、もう2年前になるか、奄美大島加計呂麻島を旅した。彼女が訪ねた多くの場所にその際偶然ながら足を踏み入れている。
小さな入り江ごとに集落があり、その集落ごとに唄にも少しずつの違いがある、その集落を奄美では「シマ」と言う。そこは人で溢れていて、子供たちは路上で遊び、男たちは黒糖焼酎を飲み交わしている光景が楽園のように描かれていた。
私が訪れたうち、印象に残っているのは北部の佐仁集落、しかしここには人影がなかった。もとはお店だったところも随分前に廃業していたようだし、人の気配が感じられない家が多かった。
楽園は失われてしまったのであろうか。




サウス・トゥ・サウス

サウス・トゥ・サウス