加藤武 偲ぶ会


加藤武 偲ぶ会@お江戸日本橋亭
鏡味味千代 丸一 小助・小時 茶番曲芸
扇蔵 たがや
恩田えり 音曲
小朝 荒大名の茶の湯
中入り
吉坊 阿弥陀池
新橋耐子 朗読 「宮本武蔵」火の巻より風車


昨年急逝された加藤武さんを偲ぶ会はほぼ満員の盛況で、客席には生前交友があったであろう俳優Y氏の姿もあった。
私は少し遅れて2列目中央の座椅子に着座、目を上げると舞台の高いところに遺影があり、高座と客席を睨みつけている。
太神楽が最初にあるというのも珍しい。
扇蔵さんは扇橋師匠が柳句会のお仲間であった縁で出演、「たがや」はいろいろとオカズを入れ過ぎた感じでもうひとつのれない。シューッとやりきると短過ぎる噺なのかもしれないが好みとしてはそちらを望む。
えりちゃんは愛嬌があっていいんだなあ。加藤さんの朗読の会にはよく呼ばれていた。今日は川島雄三の「貸間あり」でフランキー堺と加藤さんが風呂場で唄う歌の出囃子を披露、この舞台に加藤さんがこの出囃子で登場したことがあるそうだ。
小朝師はいつ以来か。小噺が多いマクラに入れ込み多い噺の展開も全く昔とおんなじだ。なんだか綾小路きみまろに近い気がする。
中入り後は吉坊さんで「阿弥陀池
吉坊さんは加藤さんが米朝師匠と同じ正岡容門下ゆえ当然ご縁があり可愛いがられていた。加藤さんは晩年米朝師匠のCDをよく聴かれていて、「いいねえ、もっと聴いておけばよかった」と言われていたと吉坊さんは語る。
小沢昭一さんとかと素人落語会をする時、加藤さんは決まって「新聞記事」をされたそうで、主催者からの依頼でその元ネタである「阿弥陀池」だった。ドガチャガ噺で吉坊さんには合ってない気がしたな。
文学座の新橋耐子さんの宮本武蔵「風車」の朗読は、3年前に加藤さんで聴いている。その時、 加藤さんは「廣瀬中佐」を朗々と歌われた後「小沢はいずこ 小沢はいずこ」と続けられた。
今や「加藤はいずこ 小沢はいずこ 米朝はいずこ」である。



加藤さんを偲ぶ座談会が欲しかった。舞台の上で加藤さんが睨みきかせているもののなんだかぐだぐだ感拭えない偲ぶ会であった。