一之輔たっぷり@鈴本演芸場

きいち からぬけ
一之輔 七段目
権太楼 猫の災難
仲入り
一之輔 唐茄子屋政談



東京西郊の勤め人にとって鈴本19時はじまりはキツい。
今回もきいち聴けず(未だに一度も聴けていない!)、一之輔「七段目」もそろそろ「七段目」に取り掛かろうかというあたりで到着し後方席で拝見。
最近よく吉坊で、また少し前には米團治でもよく聴いたが共に華やかさのある歌舞伎が見えるのに対して、一之輔は豪快な江戸歌舞伎という感じがする。
ハメものも入り賑やかでよい。こうした噺には東西問わずお囃子入れていいのではなかろうか。
続いて本日のゲストは権太楼師。じっくりといつものマクラで会場を温めてから「猫の災難」
酔っぱらい方が楽しくて楽しくてうれしくなる。鈴本の空気ががらりと変わってしまった。
仲入りをはさんで一之輔「唐茄子屋政談」
調べたら去年の渋谷らくご以来だ。「七段目」と同じ若旦那が主人公なんで噺としてはつくな、とは思うがこっちは勘当されてるんでまあいいや。
吾妻橋で飛び込もうとする若旦那「徳」をとめる叔父さんが剛毅でいい。この叔父さんが噺の芯棒になっている感じだ。
ふらふらと唐茄子を売りにいく若旦那を助ける市井の人々。唐茄子が好きな人がいてよかった。
田原町を抜けて吉原田圃を眺める光景から、裏長屋の誓願寺店(たな)へと入る描写が的確。
噺はここからひと騒動持ち上がり、しめっぽい方向に向かい最後は「めでたし、めでたし」で幕となるが一之輔はそうはしない。若旦那に唐茄子を売り続けさせるのだ。
若旦那をとりまく市井の人々。唐茄子が好きな人がいて本当によかった。



若旦那の遊びも芝居狂いくらいの方がいいようだ。