木馬亭7月定席

浅草木馬亭での奈々福のおはようライブで「平成狸合戦ぽんぽこ」を聴き、素晴らしかったねえ、などと喋りながら楽しく仲間と水口食堂で食事してから、さて木馬亭へ定席聴きに戻るか、ニューオイランズの演奏聴ける浅草演芸ホールに行くかで友人さるえ堂と意見が分かれた。私は昇太も出る浅草演芸ホール推しだったのだが、なかなかの強い意志で押し切られて木馬亭定席へ行くことに・・・。
久しぶりだからまあいいかと思い、入ってみると奈々福の「浪岡助五郎の義侠」とトリの浦太郎以外はさるえ堂ほとんど寝ていたのでコヤツ男がでかいと感心する次第となった。
入りはざっと50人くらいか、我々の前には浪曲が初めてとみえるご婦人グループが座っておられた。この方々のハートを掴めばよいのだが。
入ったのは2人目の孝太郎「人情 江戸っ子祭り」の途中で、続いて、ちとせ「鮫人間の恩返し」。これは小泉八雲原作の浪曲化だ。前には芥川龍之介の「杜子春」てのも聴いたが一時文芸路線というのが流行ったのだろうか。
今日2度目の奈々福は「飯岡助五郎の義侠」で流石の切れ味、前列のご婦人連も「この人上手いねえ」と感心していた。よしよし。
中入り後に涼月が落語「たらちね」翻案の「東男と京女」、悪くはなかったがワザワザ落語を浪曲で聴かなくてもって感じは否めない。続いてお口直しの講談はといえば人間国宝一龍齋貞水の弟子で春水、驚いたことに元声優で、しかもなんと「宇宙戦艦ヤマト」の森雪役だったというじゃないか。何をかけられるかと思えば、お客様から是非やって欲しいと依頼を受けてライフワークのように取り組まれている「中島久子伝」だった。客が演者の人生変えることもあるんだねえ。
内容は小さい頃の病気で両手両足を失った女性の一代記。むしろ浪曲に親和性のある内容で空気を変える講談の役割とはならなかったのが残念。暮れに内幸町ホールで「中村久子伝」を語る独演会があるとのことであった。
トリ前のモタレ(上方落語でもモタレというが浪曲でもそう言うそうだ)はこう福で「人情あいや節」、津軽が舞台の人情もので、途中津軽三味線弾いたりしてファンを喜ばす彼女の十八番だ。
さて、トリはご存じ東家浦太郎で「太閤記 矢作橋」快調にすべり出されたが途中で失速してしまわれて残念。最後は他の節をいくつか唸られて御贔屓筋の喝采を浴び「勉強し直してまいります」と下がられた。関東節の雄だけにいつまでもお元気でいてもらわねば困る。
とこんな木馬亭定席、、、やはり月イチくらいは顔を出したいものだ。