- 作者: 坂本龍一,中沢新一
- 出版社/メーカー: 木楽舎
- 発売日: 2010/05/24
- メディア: 単行本
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この遮光器土偶のデザインも素敵でしょ。
中には諏訪や青森・鹿児島の素敵な写真満載なのですが、共著のお二人は縄文の聖地を巡りながら、現在そして未来のあり方を語り続けているのでした。
9・11以降、敵か味方か、味方でなければ敵というような二者択一的なコンピュータ的二進法ともいうべき世界へ移行してきたと二人は憂えている。自然か人間か、ではなく、人間も自然であり、自然も人間であるといった曖昧な境界線を持った世界、1or2ではなく3の選択肢を持っていた時代が、かってこの日本にもあったと、それが縄文時代であり、その時代を基層とした今の日本にもその名残りは至る所に表れていると・・・。
その中でも特にその残り方が濃厚な場所として「諏訪」「若狭・敦賀」「奈良・紀伊田辺」「山口・鹿児島」「青森」と選んでめぐっていく。
敦賀半島の先端にある「あいの神の森」はこの二人の旅の象徴的な場所ともいえる。田の神とも漁の神とも言われる「あいの神」を祀り、他の祭祀遺跡も同居する太古から続く森・・・しかし、そのスグそばには原子力発電所が屹立していたのだった。
一度、発電すると、もう二度と自然には戻りえない物質を生み出す原子力という「現代の荒ぶる神」の姿を目にして衝撃を受けた二人が語る話とは・・・。
近いうちにもう一度「諏訪」にいきたいですね。また、個人的には友人との青森旅行の際に訪問した環状列石の「小牧野遺跡」をお二人が訪問し、何枚も写真が掲載されていたことです。他ではほとんど見たことがないですからね。
あと、若狭の鳥浜貝塚出土の洗練された楽茶碗のような縄文土器や、鹿児島上野原遺跡の弥生式土器と見まがうばかりの縄文土器の姿にも刺激を受けました。
『縄文』をもう少し深く見つめ直したいですね。
追記
6月6日に東京国立博物館に行き、考古学の展示を見てきました。
まずは、この本の表紙のデザインに使用されている有名な遮光器土偶(青森県亀ヶ岡出土)
それと、縄文ながら弥生的美意識で洗練された縄文式土器