クラウス・ハロ監督「ヤコブからの手紙」




銀座に出かけて、INAXギャラリーをのぞこうと思えば日曜は休み・・・気分をかえて観る予定のなかったフィンランド映画を観ました。
75分の秀作。
冒頭から単調な景色に単調な音楽が重なり眠気を誘います。
終身刑の女性レイラが恩赦で出所するところから物語は始まります。レイラがどういう犯罪で終身刑を受けていたかの説明は一切ありません。ただ、聞いたこともない牧師が身請け人になってくれた事、不承不承ながらそこに行くしかないことが綴られていきます。
到着した田舎の牧師館には盲目の老牧師ヤコブが待ち受けていました。「家事なんかしないよ」というレイラに、ヤコブは「手紙を読んで返事を書いてくれればいい」とやさしく話しかけるのです。
実は牧師の唯一の楽しみは毎日来る郵便配達人が届けてくれる手紙なのでした。多くの人々が彼に悩み苦しみを訴えてきます。そのひとつひとつに牧師は返事を書く、いやレイラを介して手紙を出すのです。


しかし、牧師への手紙がある日を境に全く来なくなったのでした・・・


レイラ役はカリーナ・ハザード、ヤコブ牧師役にヘイッキ・ノウシネン。共にフィンランドでは名の知れた俳優とのことです。
物語は後半の10分くらいから一気に動き、ああ脚本がいいとこういう映画が出来るんだなあ、と思わされたのでした。
ラスト近くでは映画館のアチコチですすり泣きが聞こえていましたよ。


冷たい熱帯魚」が同じ映画館でレイトショー公開しているのがなんだか皮肉な気がしました。