川本三郎著「それぞれの東京 昭和に生きた作家たち」

浜田山駅前の本屋さんで見つけてすぐに買い求めて読みました。
図書館で借りた本もあるし、他にも読んでない本がたくさんあるのにね・・・


それぞれの東京―昭和の町に生きた作家たち

それぞれの東京―昭和の町に生きた作家たち

東京に生まれ育ち、あるいは他の町から東京にやってきて暮らしていた作家や俳人、画家に映画監督といった23人を、その住んでいた東京の町を中心に描いています。いつもながら著者の川本三郎さんが慈しみつつ紡いだ文章を、慈しみつつ味わって読みました。いいですよ、これ。

著者は「あとがき」でこう書いています。
「本書はそうした『わが町』をひとつひとつ追っていった。天下国家を論じるより、小さな町について語りたい。そこには地に足が着いた地道な暮らしがある。作家や画家、あるいは俳人や映画監督も町のなかでは一市井人になっている。」


植草甚一の「日本橋」「経堂」、石田波郷の「砂町」、石井桃子の「荻窪」、向田邦子の「祐天寺」そして成瀬巳喜男の「銀座」

中でも木山捷平「中央線沿線を転々とした瓢逸の作家」が面白かったな。
木山捷平は大久保から始まって中野、高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪あたりを転々とした私小説作家でした。私小説といっても自己を赤裸裸に暴いたようなものではなく淡々となんでもない日常を描く作家のようです。庭での焚き火を愛し散歩を愛した作家・・・

紹介されていた短編「軽石」は焚き火ででてきた釘を集めて屑屋さんに売った3円で買える物はないかと散歩に出るのでした。立野町から吉祥寺、西荻窪の松庵あたりまで足を延ばし、その先の雑貨屋さんで遂に3円で買えるものを見つけます。それが軽石だったという話。
なんだかいいですよねえ。
講談社文芸文庫で何冊か出ているというので早速読んでみようと思っています。

少し話しが外れましたが、この川本三郎さんの本お勧めですよ。この本を読むと東京の色々な町に散歩に出掛けたくなります。
さあ、この本を手にして散歩に出よう!!









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