金子達仁著「古田の様」


いやあ〜なかなかに面白く一気に読めましたね。


古田の様

古田の様




阪神の矢野や中日の山本昌、巨人の上原、ヤクルトの宮本・五十嵐・石井等のインタビューでいかに古田が素晴らしいキャッチャーであったかが明らかになっていきます。川西市加茂の少年野球指導者や川西明峰高校、立命館大学の野球部監督も彼の素材としての良さについて語ります。
成る程、古田は素晴らしい捕手だったのでしょう。しかし、この本の真骨頂はやはり球界再編問題の際に選手会長として矢面に立った時の話でしょうね。
そして、古田と球団側を代表して交渉に当たっていたロッテ球団代表の瀬戸山氏についても深く掘り下げていき、グイグイと読ませます。
そうですか・・・
瀬戸山さんはもともとダイエーの社員で中内オーナーの指示で南海ホークス買収の前段階から動いていた人なんですね。ダイエーホークス発足後は球団代表を勤めた後に退社、野球とは全く関係ないところに就職することになっていたそうですが、ロッテの重光オーナーから声を掛けられて又も球団代表になることになってしまう。そして、球界再編の嵐の中に全く部外者として巻き込まれていってしまうことになるのですね。しかもその背後にはロッテとダイエーホークスの合併話まで隠されていたとは・・・本人は何も知らされていなくとも誹謗中傷されてしまう。
本人の意思とは関係なく矢面に立たされて苦悩される瀬戸山さんの立場はつらいものでしたでしょうね・・・
思いは一緒であった古田に握手を拒否されたシーンは記憶に新しいものでしたが、本書によると、その三年後、あるパーティの席で古田の方から「瀬戸山さん、あの時はお世話になりました」と握手を求めてきたそうです。このシーンを含めてこの本の「第三章 2004年、球界再編騒動」だけでも一読の価値ありです。