国分拓著「ヤノマミ」


ヤノマミ

ヤノマミ

いやあ、なんとも強烈な本でした。
アマゾン奥地の濃厚な闇の中で獣が吼え、虫が蠢き、人々がヒソヒソ話する空間に自分自身が身を置いたような錯覚さえ感じました。


ヤノマミ・・・それは人間という意味です。
ベネズエラとの国境近くの「ヤノマミ保護区」内にあるワトリキという集落に著者達は計150日間を暮らしました。
冒頭の闇の描写はまさにこの本の冒頭のものでした。「ワトリキ」はドーナツ状にぐるりと繋がった家、といっても壁はなくプライベートも
全くない集落でした。
彼らは私有物が極端に少ない狩猟生活民です。男達は狩に出掛け、女達は畑に行くと共に、川で魚を獲ります。
彼らは何かあると「アハフー アハフー」と笑いあっています。

読み進むうちに、この「ワトリキ」での生活がひとつの理想郷のようにさえ感じてきますが、そこにはまた大きな、ショッキングな現実が
控えているのです。
我々とは全く違う死生観の持ち主である彼等は子供は精霊であり、また自分達も死ぬと精霊になると信じています。
精霊達は「ワトリキ」の上の天から我々を見ていると・・・。 そしてシャーマン達がその精霊と交信をおこない病気を治癒したり、出産が
スムーズに運ぶように祈るのでした。
出産、その瞬間こそ、我々の魂をゆさぶる出来事が待ち構えていました。
産み落とした子供を子供として受け入れるか、それとも精霊に返す!!かは母親に権限が委ねられているのです。
う〜ん・・・この現実以外にも考えさせられる事ばかりでした。


著者やスタッフは帰国してからなかなか日本の現実世界に適応出来ずに苦しむのですが、我々はその呪縛にとらわれずに読了する仕掛けが最終章になされていました。
それまであえて控えて記述されていなかった現代文明との接点・・・それはそれで読んでいくのが苦しいのですがね。

読了してから、また読み直したくなった久々の本です。お薦めです!!


このDVDも欲しい・・・買ってしまいそうです。


その宣伝を見つけました♪