「勢州阿漕浦」「桂川連理柵」

文楽9月公演第2部「勢州阿漕浦」「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」を見てきました。
今までは大阪の国立文楽劇場ばかりでしたので、初めての国立劇場です。いつも裏側の国立演芸場ばかりですからねえ・・・
ハイヤーやタクシーで乗り付ける人の多いこと!! ハイソですね。
劇場は下の写真のように上手(かみて)に床が張り出していて、人形を見ながらでも、床が目に入ってくる感じです。大阪の文楽劇場では両方を見ることは少しむずかしいですよね。(まあ、座る位置にもよりますが・・・)
字幕は下手の舞台上方に縦書きで出てきて、これは私の(上手側最後方)では見えにくかったですな。大阪の方が舞台中央上に大きく表示されるので、映画を観るように字幕が読めて楽です。
これから、東京と大阪で文楽を見られるとなると・・・これは贅沢です。ただ、東京はプラチナチケットですぐに売り切れますから大変ですがね。東京12月公演は「本朝廿四孝」「由良湊千軒長者(安寿と厨子王)」!!

さてさて、本日の演目は伊勢の浜を舞台に三種の神器がからむ「勢州阿漕浦」やはり住大夫さんがよかったですね。
目玉は久し振りという「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」の通し!!

京都の柳の馬場押小路虎石町帯屋長右衛門がひょんな事から隣りの信濃屋の娘お半と出来てしまう。長右衛門38歳、お半はなんと14歳!! 長右衛門は他に死なねばならぬ訳があり、ひとりで死のうと決意するが、身重になってしまったお半も死ぬと先に一人で桂川へ・・・追いついた長右衛門はお半をおんぶしての道行きとなるのでした・・・。

長右衛門は帯屋の家の貰い子で、姑は後妻で全くなさぬ仲、おまけに連れ子儀兵衛もおり、姑は長右衛門を追い出し、儀兵衛に帯屋を継がせたい魂胆。儀兵衛は長右衛門の妻お絹に横恋慕・・・というややこしい背景があるのですが、このあたりは上方落語「胴乱の幸助」に出てくる噺ですね。

この芝居は実話を元に安永5(1776)年に大坂で人形浄瑠璃文楽)として初演され人気を博しました。
(ただ、実話は強盗に会い、心中にみせかけて殺された二人の死骸が桂川で見つかったという話らしいのですがね)

お半は人間国宝吉田蓑助、長右衛門は桐竹勘十郎が見事に操り、「帯屋の段」では竹本千歳大夫と鶴澤清介がよかったですね。

ますます文楽にはまりゆく自分がいるのでした。