かもめ組飛んだ

午後から、亀戸カメリアプラザ6F和室へ行ってきた。



浪曲からパンソリへ、パンソリから浪曲へ〜おおそれみよ!愚か者は国境を越える


パンソリ 安聖民(鼓手:李昌燮)「沈清歌」より「沈学奎(シムハッキュ)、都に向かう」

玉川奈々福(曲師:沢村豊子)「放蕩息子の帰還」(山田洋二原作 奈々福作)

道案内人 姜信子(作家)



道案内人役の作家姜信子さんのお話しに続き、豊子師匠の鮮やかな太竿、客席側の襖があいて李昌燮氏がドラをゆっくり鳴らしながら、安聖民さんが歌いながら、奈々福さんは阿呆陀羅教をちゃかぽこやりつつ客席をまわり登場する。
登場の仕方が素晴らしい。姜さんがかもめ組のみんなの魂を呼び寄せたかたちだ。ここではいちいち客席は拍手をしない方が良かったんじゃないかな、と思う。拍手が合う芸と合わない芸があろう。最近、拍手に違和感感じることが多くなった。もう少し考えを深めてみたい。
続いてパンソリだ。
「沈清歌」より「沈学奎(シムハッキュ)、都に向かう」
鼓手の合いの手と共にパンソリのリズムが実に心地よい。
ずっと聴いていたくなるリズムである。そこに盲目の旅人の物語が加わるのだ。いままでにも東京と大阪で一度ずつ聴いているが今日が一番こころを打たれた。聴いたことのない方は是非体感して欲しいな。


鼎談では各国の語り芸の違いから、日本の文化行政に話が及んでやや奈々福さんヒートアップ! そらそうだよ。落語・講談には人間国宝があるのに浪曲はないからね。豊子師匠なんて文句なしの人間国宝だと思う。

鼎談と仲入りをはさんで最後は浪曲。奈々福さんが2002年に最初に作った新作「放蕩息子の帰還」
渥美清さんがテレビで演じられた山田洋二氏原作だ。久々に蔵出しされたらしい。成る程、不思議な話である。放蕩息子を勘当したが乞食となって楽しく暮らしている。
ところがいろいろあって、大旦那が危篤のところへ腹を減らして帰ってくる、握り飯をやるとほう張りつつ絶命してしまうのだ! 親父とほぼ同時に・・・不思議な話である。
渥美清が演じたテレビドラマだから通ったものではないかな。いろいろ思うところもあったが、三味線共々楽しめた。





鼎談光景