落語研究会 第577回


落語研究会国立劇場小劇場


吉幸 家見舞い
おさん 馬の田楽
喬太郎 雉政談
仲入
一之輔 粗忽釘
扇辰 藁人形



免許更新で午後休みを取り、終了後早くに永田町まで来て開演を待った。
散歩で皇居濠端まで行って、やけに水が少ないことに驚く。



吉幸は師匠譲りの口舌がなかなかいい。しかし、これはあまり聴きたくない噺だ。
続いての台所おさん…噺も噺だが、この全編場所不明の田舎言葉というのはなんとも困ったもので身を隠したくなる。この噺が好きな方はいるのかね。また、おさん自体がくどい系なんで「くどい」の二乗になってしまう。合い過ぎるゆえに合わない噺なのではないかな。
さて、いよいよ…。


やはり喬太郎師光るなあ〜。
さらりとウルトラマンの話題にふれてからの雉政談。
神奈川劇場での文学縛りの会で初演された小泉八雲原作のこの噺、夢の扱い方のシュールさは他に類を見ない。
最終的に妻がおくっていた日常も全て夢の如きものであることが分かってしまう、その恐ろしい噺のオチが駄洒落っていうのがいいね。喬太郎はこの後末廣代演に走ったらしい。なんの噺をしたのかねえ。案外はっちゃけたのをしたのではなかろうか。噺家も1日の最後が雉政談では辛かろう。
(とここまで書いて調べてみると代演ネタは「そば清」だったらしい。)

一之輔さんの粗忽釘久しぶり、少しずつ変わってきている。冒頭の箪笥かついでうろうろするあたりがもう少しあったような気がするがそれは記憶違いか。
お二人の後の扇辰さんはあっさりしていて、まるで墨絵のようだった。
いろんな噺家がいるから面白いんだな。この「藁人形」のような噺をトリでこってりやられると少しキツいかもしれない。
あっさりと淡々と藁人形を油で茹でてるのも考えようによってはかえって怖いのだがね。


罪深し墨絵で描く藁人形