ウリ坊が飛ぶ 爺さんも飛ぶ!

出張で広島に行ってきました。お昼は簡単に済ませようと駅構内の食堂に入り、穴子丼を注文しました。
広島から程近い宮島には確か上田屋という穴子弁当専門店があり、そこの穴子弁当は夢に出てくるぐらい美味いのです。
この駅構内の穴子丼はといえば穴子の小骨がノドに襲いかかってくるといったハードな丼でした。トホホ
店にはカウンターと二つのテーブルがあり、カウンターは一段高くなったところに固定式の椅子が取り付けられていました。カウンターに座るには、よいしょと一段あがる訳ですね。  私はテーブルに座れたのですがカウンターもほぼ満席でした。そこにひとりの爺さんが座っておりました。バーコード禿で髪も地頭も整髪料でてろてろに光らせて、80近いと思われますがデニム地のマントの如きコートを羽織っておいででした。食事はおわったらしく、かばんより大きなビニール袋を取り出してモゾモゾしていましたが、その袋にはマジックで大きく「耳薬朝晝用」と書かれておりました。昼の旧字体「晝」にほほうと少し感動した頃、丼が運ばれてきて目を離しました。
もう爺さんのことなぞ忘れて食事していると、その爺さんが段差を踏み外してデニムのマントを翻しながらもんどりうって落ちてきたのです!! それも私目がけてですよ!!
突然、どんとあたってきて腕を掴まれたから、私も「うわぁ」と声をあげてしまいました。
その爺さんは謝りもせず去っていきましたが・・・
「爺さんよ、オレがいなかったらアンタ骨折してたぜ!!」


そんな思い出を胸に広島から名古屋へと向いました。車窓から大阪の夕景を眺めながら・・・