石田徹也の悲しみ

石田徹也遺作集

石田徹也遺作集

年末にamazon石田徹也遺作集を購入しました。
最初に目にしたのは、朝日新聞の書評欄だったと思います。その異様な絵に衝撃を受けました。
その後、NHK教育の新日曜美術館で取り上げられ、年末にはアンコール放映もされましたから、目にされた方も案外多いのではないでしょうか。
自らの意思ではなくメタモルフォーゼしてしまった「男」はうつろな眼差しで、それを許容してしまっている・・・そんな多くの絵は強烈な印象を残します。
コピーライターの鈴木 忍氏は「イシダの絵を見た記憶がいつまでも持続するのは、彼が意識の海につくりだす『負の浮力』による」と書かれていますが、まさにその通りで私は何度となくこの画集を取り出してページをめくっています。

彼の絵を見たことのない人はこの画集の表紙の絵を見てください。小さくてわかりにくいかもしれませんが、「男」が通園地の飛行機と一体化してしまっているのです。「男」は自らの手も翼の如く左右にのばしているのでした。