この1.5日間、うなされつつではありますが、ひたすら眠っていたので4時前には目が覚め、HDDに溜まった映像から伊丹十三の遺作である「マルタイの女」を観ました。たぶん劇場で観て以来の再見です。
人が銃撃されるシーンでの頭部の飛び散る映像など今までに見たことがないように凝っているな・・・と感心しつつも、「・・・の女」シリーズも行き詰まりの感は拭えない、という印象は初見と同じものでした。
親友にして義弟にあたる大江健三郎の家族をモデルにした「静かな生活」もヒットからは遠く、新境地を見出せないまま、自らの命を絶ってしまわれたのは残念ながら、妙に納得出来る事件でした。そのニュースを聴いて、私はスグにこの「マルタイの女」で津川雅彦が劇中夢のシーンではあるもののピストルで頭部を撃って自殺するシーンを思い返したものです。
一連の伊丹映画では初期の2作は山崎努が、あとの作品は津川雅彦のポジションが伊丹十三の身代わりとでもいえるもので、「マルタイ」で先に津川雅彦を自決させたのは、濃厚に自らの死を暗示していると思えてならないのです。
伊丹映画の「○○の女」シリーズでは1作目の「マルサの女」が軽快さもあって面白く、「ミンボーの女」も豪華キャストで魅せてくれるのですが、案外「スーパーの女」のような軽いハウツーものがお勧めかもしれません。

☆☆★