ブッシュ大統領は言うだろう。
「これはアメリカ映画ではない。アメリカ映画はもっと夢と希望にあふれている!!」と。

まあ、常日頃見慣れているアメリカ映画とは一味も二味も違った映画でしたね。
アリゾナ州に住む一家が末娘のオリーヴのリトル・ミス・サンシャイン・コンテスト出場のため、オンボロバスでカルフォルニアまで走るというロード・ムーヴィー。
自らの成功哲学を出版業者に売り込もうと必死の自称「勝ち組」の父とヘロイン中毒で老人ホームを追い出された祖父、ニーチェを愛読し、空軍士官学校に入るまで無言の行を行っている長男と無邪気な小太りトンボ眼鏡の少女オリーヴ、そこへゲイのプルースト学者の伯父が自殺未遂で運び込まれてくる・・・ここまで書いてもムチャクチャな一家を取りまとめるのに一生懸命な母シェリルと登場人物は多彩です。
その一家がこの映画の象徴ともいえるオンボロな黄色いフォルクスワーゲンのミニバスで移動します。
ロード・ムーヴィーということもあり、ひと昔前のヨーロッパ映画のようなテイストではありますが、描かれている世界は日頃クローズアップされることのない「チープ」なアメリカそのものです。
冒頭のフライドチキンとスプライトのディナーといい、観ていられない程おぞましい少女達のミスコンテストシーンといい、なんとも「チープ」なアメリカの側面を描き出しており、こういう映画が作られ、公開されているという事はある意味でアメリカの一種の健全性の表れでもあろうか、と納得した次第です。
パンフレットを買い求めて、読んでみると面白いことが書いてありました。
脚本家のマイケル。アーントがこの映画のストーリーを思いついたのがアーノルド・シュワルツェネッガーの次の発言だったというのです。
「この世で嫌いなものがあるとしたら、それは”負け犬”だ」
これは面白い!!
是非ともシュワルツェネッガーの感想を聞いてみたいものですね。

そうそう、ミスコンのシーンに「24」のクロエが端役で登場していてビックリしましたよ。

☆☆☆