赤瀬川原平著「悩ましき買物」

悩ましき買物 (知恵の森文庫)

悩ましき買物 (知恵の森文庫)

いやあ、面白いなあ・・・赤瀬川原平さんのエッセイは脱力感がなんともいえずイイのですよ。「ステレオカメラ」だとか、「路上観察」だとか色々と広範囲に書かれていますが、今回の「悩ましき買物」は「中古カメラ系」でした。
赤瀬川氏曰く、中古カメラウイルスに感染してしまったそうで、治療と称して中古カメラ店に折々顔を出すのだそうです。
この本でもライカからフランスのフォカとか色々買っていますねえ・・・。
他にも腕時計やナイフ・万年筆・バッグ・iマックにソファの張替えと色々購入されています。総額いくらになるんだろう? まあ、そんな野暮な考えはやめてダラダラと読むには最高のエッセイ集です。
それに彼の書いたそれぞれ商品のイラストがこれまた素敵ですよ。

スーツに合うバッグを買うくだりでは・・・
『 前に葬式に向うヤクザ様たちの集団を見た。親分衆は黒いスーツで両手には何も持たず、当然胸を張って堂々としている。その後ろを子分衆が荷物を抱えて歩いている。そうだ、スーツとはそういうものなんだと思った。
 いまは一般大衆もみんなスーツを着る。だけど通勤などには疲れるのでショルダーバッグがいい。それが小市民のスタイルである、だから逆にヤクザの親分さんだって、どんなにピカピカのスーツを着ていても、ショルダーバッグさえ肩に掛ければ小市民になれる。もうそれだけで背中がちょっと丸まって見えるはずだ。』

どうです、なんとはなしに面白いじゃありませんか!!