堤未果著「ルポ 貧民大国アメリカ」 民営化という悪夢

今日は静岡へ行ってきました。
新幹線の中は白人でいっぱいでした。
オーストラリアの方かも、ニュージーランドの方かもカナダの方かもわかりませんが、太ったおばちゃんやおねえちゃん達のFUJISANが見えた時のオーバー気味のリアクションはアメリカのものに見えたのでした。






ご覧の通り、私も写真を撮ってみましたが、実際に目でみた感じではもっと雲に隠れているように見えたものです。
その時、私が読んでいた本がこの本でした。



ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)



いやあ、驚きました!! アメリカもチベット問題で中国に文句を言う前に自国を見直さないと・・・これはひどいものです。
教育も医療も、そして戦争までもが民営化された為に、あふれる貧民達・・・

冒頭で今話題の「サブプライムローン」が登場します。この「サブプライムローン」というのは返済能力がないことがわかりきっている貧困層や移民の人達に、説明もそこそこに融資するというヒドいものなのです。
ナゼ融資するかと言えば金利が高いからですよ。この本ではこういうビジネスを「貧困ビジネス」と呼んでいます。
勧誘に乗り、「アメリカンドリーム」を信じて家を買い求めた人達は金利に追われて、最終的には家を手放し、結果的に家を購入する前より大きな借金を抱えてしまうのです。

貧しい人々、4人世帯で年収2万ドル以下の児童には朝・昼の給食が与えられる。ところが、そこに「マクドナルド」や「ピザハット」が参入しており、その給食はジャンク・フードに近いものばかりとなっているんです。(そのうえ、この給食にはコカコーラかチョコレートミルクがもれなくつきます。)
という訳で貧困層の児童はみんな太っているんですね。
児童だけでなく、貧困層に支給されるフードスタンプでも、それで一家族が満足する量を求めると・・・やはりジャンクフードになってしまうんです。
という訳で貧困層は児童だけでなく大人もみんな肥満なんです。

病気になっても、民間の保険会社や薬品会社が医療を牛耳っているので、医療費はバカ高く、また望んだ医療が受けられない・・・余りに医療費が高い為に病気をしてしまうと中流の人々も貧困層に転落してしまう悪夢が待っています。
重病で入院すると、後遺症の医療費を心配した会社から解雇されてしまうんですよ!! ありえませんよねえ!!
どれほど高いかといえば・・・出産で軽く200万円を超えてしまいます。(おちおち妊娠も出来ない!! 出産後即退院するケースが多いそうです。)
病院は保険会社の評価を気にして出来るだけ入院させない。
冗談のような話ですが・・・脳卒中は平均7日以下、心筋梗塞手術後4日、乳ガン手術なら2日まで、と保険会社が決めているのです!!
あと、大学に入っても学費が高騰しておりクレジットカード破産者が急増、また奨学金の返済も厳しく、これでも破産の道が待っている・・・

そんな彼等彼女達、また短大生、高卒就職組に甘い言葉で近寄ってくるのが軍隊の勧誘なんですね。
と、まだまだ恐ろしい話があるのですが、それはまた今度・・・
一度本屋で手にとってみてください。