桂小米朝著「子米朝」

10月4日には京都南座へ5代目桂米団治(よねだんじ)襲名披露興行の初日に行ってきました。人間国宝桂米朝師匠の師匠が4代目、その5代目を米朝一門の若旦那(といっても今年で50歳にならはりますが・・・)であり、米朝師匠の実の息子である小米朝さんが襲名されたんですなあ・・・
上方落語、特に米朝一門を贔屓とする私にとっては大変大きなイベントであります。なんとしても、その初日に行きたいと、ネットでムリして購入し、駆けつけました。
桟敷席にずらりと舞妓が並び、中入り後には祇園甲部の芸者さん20名程が花道から黒紋付姿も艶やかに、黒い拍子木打ちながらの入場!!
なんと粋な!! と感動したのですが、その話はさて置いて、(いずれアップします。)
中入りの際にロビーで買い求めた一冊の本を紹介いたしましょう。

子米朝

子米朝


米朝一家の長男として生まれ、悩みながらも落語家の道を歩き出した小米朝の、(地方興行の際には本当に「子米朝」と間違えられていたそうです。)せきららに悩みとチョカなところをさらけ出した、一気に読了する事の出来る一冊です。
米朝師匠というのは上方落語の中の巨人です。多くの古い話を掘り起こして復活させるとともに、ホール落語を成功させて、地方興行を積極的に展開し、上方落語を全国で通用するものにと変えていかれました。同時に、多くの著作物も出され、口述全集やCD・DVDの数も上方では他の追随を許さない程、出されています。
50歳近くになっても父親とくらべ続けられるのはつらいでしょうなあ・・・
それを乗り越えていく、決意表明が「はじめに」にきっぱりと記されています。

『初めて出させていただくことになった本のタイトルが「子米朝」。
また米朝かいと思われたかもしれません。これには訳がございます。
米団治襲名を前に、きっぱりと小米朝と決別し、米朝から本日の意味で独立を目指したいという思いからなのでございます。噺家として、一人の男としてのけじめです。』

この言葉がなくともこの本の出版こそ、まさしく表明ともいえましょう。

この本は面白いですよ。
やはり一番は、そのチョカな部分、「うっかりの物忘れ」を羅列している章ですわなあ・・・
ラジオの本番は忘れる、落語会も忘れる、大師匠の稽古日もウカッと忘れる、人のジャンバーを着て出かける。口上の席で江戸のえらいさんの屋号を間違える、とええかいな!!というぐらいに多い多い!!
また、しゃれているのが謝罪の手紙の書き方が丁寧に説明されているんですなあ・・・

写真も豊富で巻末の米朝師匠との親子対談もいいですなあ…

米朝師匠の名著「落語と私」と同じポプラ社から出版されたというのも、なんだか良いですねえ。
ガンバレ米団治!!