佐々木譲「笑う警官」

笑う警官 (ハルキ文庫)

笑う警官 (ハルキ文庫)


いやあ、面白い!!
文句なしに面白い警察小説です。
久し振りで寝る間を惜しんで読む小説にぶつかりました。
なんとも見事な導入部に、催眠術でもかけられたように、道警の世界に入っていきました。

小樽で盗難車のロシアへの密輸事件を追う大通署の刑事佐伯は部下の新米刑事新宮と共に、なんとか犯人を逮捕したのも、つかの間、道警本部にこの事件をかっさらわれ、納得できないまま署に引き上げてきました。
その頃、
大通署管内で発生したマンションでの女性殺害事件、通報を受け現場に急行した同僚の刑事町田はその被害者がミス道警に輝く婦人警官であり、その殺害現場が警察が使用していたアジトであることという驚愕の事実をつきとめますが、どかどかとやって来た道警本部にこの事件は道警本部が仕切ると追い出されてしまいます。
すぐにミス道警の恋人であった警官津久井に指名手配がかかり、「覚せい剤を常用し、銃を不法所持していることから見つけ次第、銃殺せよ!!」との指示が道警本部より出されました。
しかし、その津久井から佐伯へ「私はやっていない」との電話がはいるのです。同時に津久井が翌朝開かれる北海道議会の百条委員会に呼ばれていて道警の不正事件の証言をすることも判明しました。道警本部はそれもあって津久井の抹殺を計画しているようなのです。
以前、彼と生死を賭けたオトリ捜査を共にした佐伯は彼の言葉を信じ、仲間達と裏捜査本部を立上げ、彼をかくまいながら、真犯人捜査に乗り出したのでした。
イムリミットは翌朝まで!!
道警全体を揺るがした不正事件を背景に、重厚に描かれたこの佐々木譲の世界!!!
是非ご一読いただきたい一作です。

この小説が、映画化されるそうですよ。
ただ、監督が少々心配なのですが・・・