三三・吉弥ふたり会


いつもは発売と同時に売り切れる「ふたり会」も、いつもの新橋・内幸町ホールから新宿・紀伊国屋サザンシアターという大きな入れ物に変えたせいもあってうっかり八兵衛で忘れな私でも買うことが出来ました♪
成る程、調べてみると内幸町ホールが188席に対してサザンシアターが468席とほぼ2.5倍のキャパシティですな。そんなコト知らないで発売から何日かして電話してとれたので、「とうとう落語人気に凋落の兆しが出てきたか・・・まあ、好きな私にとってはチケットも取れやすくなるしいいことかなあ・・・」なんてノンキに考えていたのですが・・・
全く逆でしたな。時間はかかったものの、2.5倍の468席完売満席でございました。
今日は同じビルで働く富士さんと同行、彼は3回目の落語会です。
はじまると、まず高座に座布団が2枚。 「ん?」と思っていると柳家三三(さんざ)さんと桂吉弥さんがそろって登場に大拍手。対談から始まるという「ふたり会」としては初めての試みでした。そこで知ったのが、今日はネタおろしで、一人一席しかしないというコト・・・ポスターにも書いてあったのに、まったくウッカリ八兵衛ですなあ・・・
まずはこのサザンシアターのお話、吉弥さんが「こんな『大都会!!』ちゅうようなところで(やるとは!!)」と驚きを熱く語れば三三さんが「大都会といっても新宿のハズレでしょ。みなさんはご存知ないと思いますがホントは代々木駅の方が近いんです。それにココたしか渋谷区でしょ」と静かに返す。こういう掛け合い面白いなあ…
この「ふたり会」は今や飛ぶ鳥落とす勢いで、ホントに落としたんじゃないかという立川談春師が銀座のバーで吉弥さんに「上方にライバルはいるの?」と聴き、返答を考えていると「いねえんだな。じゃあ三三をライバルにしろよ」とのたまわったコトに端を発するという話や、吉弥さんが「親子茶屋」を米団治師に習いに行った話等等・・・対談から大笑いさせていただきました。

さて、一人目は開口一番で、

桂 佐ん吉  狸  賽 (たぬさい)

狸が恩返しにサイコロに化け、ばくちに使われるが・・・という話。元は上方話ながら東京でもよくやる噺ですが、筋立てに笑う人も多く落語初心者の方も結構おられたのでしょうね。佐ん吉さんも堂々たる「狸賽」で安心して聴けましたし、文句なしでございました。

続いて

桂 吉 弥  親子茶屋 

お茶屋遊び(まあ、芸者遊びですな)にうつつを抜かす息子を怒る商家の親旦さん、怒った後に、気分直(なお)しやと、お寺の法話を聴きに出掛けましたが、このお方も実は一枚上手の遊び人で数珠は袂(たもと)にほうり込んで、ミナミの宗右衛門町へ一目散!! お茶屋にあがって飲むわ踊るわ・・・そこに息子もやってきて・・・というお話
前半の息子をしかる静の部分と、一転後半の踊り「狐つり」の動の部分に分かれる上方の大ネタですわな。
いやあ、吉弥さんの「親子茶屋」は素晴らしい出来♪ 
艶のある当代春団治師の「親子茶屋」は別格として、米団治師にも華の差のみで負けている感じでした。いやあ、素晴らしい噺を手に入れられましたなあ・・・しかも今日はネタおろしでしょ!? 今後がますます楽しみになりました♪

と、ここで中入り 後は三三さんの「妾馬(めかうま)」を残すのみ・・・
で、幕が開いて出てきたのが驚きの立川談春師!!!! 
会場に大きなどよめきが起き、その後に今まで最大の拍手!!!
「結びの神です」の一言で会場を湧かせ、若手をつぶそうとおだてて会をやらせたら二人共伸びちゃった、と笑わせてからスッと噺に入っていきました。

立川 談春 六 尺 棒

道楽息子が帰ってきたら…商家の自宅は大戸に鍵がかかっている、小声で番頭達を呼ぶが、「どちら様?」と訊いてきたのはアラ親父!! 「わたしですヨ」「私という人は知りません」と押し問答となったが戸は開かぬ。そこで道楽火をつけた!! 親父の怒ったのなんの、六尺棒振り上げて飛び出してきた・・・という噺
小気味好い江戸調子に酔いますなあ・・・

そしてトリは三三さん
実は「妾馬」をナマで聴くのは初めてという八兵衛、題名も「めかけうま」だとばかり思っていたら「めかうま」とは驚いた!!

柳家 三三  妾  馬

談春師の登場のどよめきに相当驚いたご様子で、「こんな事ならトリに出てもらえばよかった・・・」との言葉からメカウマへ・・・
このメカウマ、談春師の得意ネタなんだそうですね。「妾馬」は別名「八五郎出世」と呼ばれている噺。
さる殿様が籠の中から長屋の娘つるを見初めます。そこで屋敷にあがることになり、見事ご懐妊、見事お世継ぎ男子ご出産!! そのつるの兄貴はバクチばかりしている八五郎、屋敷に呼び出され殿様と対面することに・・・という噺
4、50分という長丁場、大笑いもさそいながら気持ちよく江戸の世界にタイムトリップさせていただきました。
どうも、本日の三三さんバージョンは冒頭の長屋部分が長屋だけに長かった様子ですな。殿様のご下命を受けた侍が長屋に来て娘を探すくだりが抱腹絶倒でございました。
吉弥さんの「親子茶屋」と同様、三三さんの「妾馬」も素晴らしい出来でした!!!
これからの「ふたり会」がますます楽しみですね。
ハネた後に新宿駅南口に移動して、富士さんと祝杯をあげたのでした。




■三三さんのブログ『三三のひとりごと』
http://blogs.yahoo.co.jp/yanagiya_sanza

■吉弥さんのブログ『だいたい毎日日記』
http://www.kichiya.net/blog/index.html