桂まん我独演会   内幸町ホール

今日は「上方落語」では桂まん我独演会が新橋で桂文我・桂三象ふたり会が日本橋で開催されます。
まん我さんは入門10周年記念の独演会でゲストにお江戸の人気者柳家喬太郎師をむかえ、ネタ出しなし。一方の文我師の方は三枝一門で上方一の変わり者といわれる三象師を迎えての緊急特番と銘打っている。三象師は昔、吉本新喜劇にも出演されていたそうです。昔、三枝一門としてTVバラエティで見かけたことがありましたが、なんともベタな方でございました。文我師のネタは長講「景清(かげきよ)」。少し惹かれますが・・・
今回はまん我独演会をチョイスすることにしました。よく考えれば、文我師はまん我さんの師匠ですがな。師匠が弟子の10周年独演会に花を添えるのではなく、対抗して同じ東京で会を催すとは一興なれど・・・ひょっとしたらまん我さんの勝ちではなかろうか、と推測仕(つかまつ)る。

新橋駅より、内幸町ホールへ駆けつけたのは開場18時半の少し前。当日券も無事ゲット出来て入場すると、会場は9割以上の満員に近い入りでございました。


桂 二 乗   ろ く ろ 首


桂 まん我   青    菜


柳家喬太郎   派出所ビーナス


桂 まん我   桜  の  宮 


中入り


桂 まん我   し じ み 売 り






いやあ、結構な会でございました。
まず、二乗さんは彼では始めて、私も久々に聴いた「ろくろ首」
お金持ちの家に婿入りの話を持ってこられた寡(やもめ)男、聴けば別嬪ながらひとつだけ欠点が・・・それは丑三つ時に首が伸びる「ろくろ首」!! 悩んだあげくに婿入りするが、その夜中に首がのびて・・・というお噺。

まん我さんは上方には真打制度もなく、区切りのお披露目もないので10周年で独演会をやることになりました、と内弟子時代の話や、今住んでいる福島区の長屋の話でタップリ長いマクラからおなじみ青菜!! 独自のクスグリも活きいて面白かったですよ。
続いて喬太郎師の「派出所ビーナス」
ボクも本当は20周年なんだけど・・・まん我さんの10周年に続いて秋には市馬兄さんの30周年に呼ばれていますが、自分の20周年の話はないんですよ。まあ、人の会は責任がないので気楽でいいよね!!と新作落語「派出所ビーナス」
池袋東口の派出所を婦人警官専門の派出所にするという噺。暴力的な婦人部長に、元旅館の女将とキャピキャピガールの3人が詰める派出所の話は笑い処満載の新作でした。元旅館の女将が自分の過去を語るときには三味線が入ったりしてね、喬太郎師も上方の会で遊びますなあ・・・。
あとはまん我師の「桜の宮」と中入り後にじっくりと人情噺の「しじみ売り」
「桜の宮」は稽古屋の連中が花見の趣向に巡礼の仇討ち芝居をしようという噺。途中に登場する西国のお侍が笠を脱ぐ仕草で、本当に一瞬笠が見えましたよ!!
しじみ売り」は小朝師がまん我さんに教えてくれ、テープをくれと言ってきたという裏話のある文我一門(といっても文我まん我のおふたりだけですが・・・)の十八番の人情噺。十日戎(とおかえびす)の日に南堀江の十手を預かりながら裏稼業も行う中川清之助(ちなみに中川清は米朝師匠の本名)の家の前にひとりの少年がしじみを売りにやってくる。アホな手下が追い返そうと騒ぐが、中川親分が奥から出てきて少年の話を詳しく聴くと・・・という人情噺。もう完璧やね!! アホの扱いといい、親分の描き方といい・・・いい噺を聴かせてもらいました。
まん我さんはこれからの上方を間違いなく支えるひとりになりますなあ・・・今日でますますその思いは強くなりました。
ところで文我師のお江戸日本橋亭の入りはどうやったのやろ?