これは最近あっと言う間に読了した新書です。面白かったなあ・・・
松本清張が週刊文春に連載していた「神々の乱心」は著者の急逝により、残念ながら未完に終わってしまいましたが戦前の宮中を舞台にした意欲作!!
鉄道オタクにして『天皇』に関わる政治思想史を専門とする著者が、その結末を予測すると共に、時代背景や隠された史実にせまっていきます。かなり危ない内容といっていいでしょう。
なにしろ、昭和天皇と母貞明皇太后との不仲、貞明皇太后の秩父宮への愛情、宮中にせまる新興宗教の魔の手・・・そして2・26事件は昭和天皇を廃して弟秩父宮を擁立しようとしていた節があるとも!!
おいおい、本当かよ!! と思わずにはおれません。
「神々の乱心」に出てくる新興宗教は神教系で、なんと月読命(ツクヨミノミコト)という、天照大神とスサノオに挟まれた人格として考えた場合2番目の神を崇拝するものなのです。そこで、秩父宮が絡んでくるというワケです。
全く知りませんでしたが実際に、2・26事件の際に東北にいた秩父宮はナゼか東北本線を使わずに東京へ戻るという不可解な行動をとり、貞明皇太后のもとに身を寄せていたというから驚きました。
この新書では小説の舞台となった吉野や足利・足利・秩父!といった土地をめぐり、最後には冒頭でも説明した通り、原教授が3通りの「神々の乱心」の終わり方を推理して示しています。
こりゃあ、「神々の乱心」を読まずにはおられませんなあ・・・
- 作者: 松本清張
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/01/10
- メディア: 文庫
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ただ、秩父宮が戦時中に結核と診断され、戦後も藤沢市鵠沼の療養所で一生を終えられたことを思うと少し複雑な気持ちにもなるのでした。
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