赤染晶子「乙女の密告」

乙女の密告

乙女の密告


第143回芥川賞を受賞した小説です。薄い本で、且つ関西弁がチラリと見えましたので読んでみました。
京都の外国語大学ドイツ語学科を舞台にしています。いつもアンゲリカ人形を抱いているバッハマン教授の元、「アンネの日記」の暗唱に挑む乙女達の心のゆらめきを描いています。この物語と「アンネの日記」が入れ子状態になり、部分部分で重なりながら独自の世界を創りあげています。
なんて感じですかな。
大学の描写では風景描写はほとんどなく、家の記述での「京の町屋の暗さ」が居心地に良さを感じさせて心に残りました。


確かに芥川賞が対象とする純文学的ではありますな。