柳家権太楼独演会@亀戸カメリアホール

会社を定時で抜け出し亀戸へ向かう。定時抜けの亀戸行きは久しぶりだなあ。「奈々福の語り芸パースペクティブ」や「ガチンコ浪曲講座」以来だ。
今日はカメリアホールでの「柳家権太楼独演会」。
岡武師匠からの優待券でN先輩、島姉さんとの4人組での総見である。
開口一番途中で入場、事前連絡で取れた席は下手ながらなかなかの良席だった。

緑助 たらちね
さん光 悋気の独楽
権太楼 唐茄子屋政談
中入り
権太楼 天狗裁き

サラの客が多く、開口一番から笑い声が絶えない。これが墨東の良さなのかも知れない。中入りで手提げを持って帰りかけた人が結構いる。(実際に帰ってしまったおじいさんもいた。)「え、中入り休憩って言ってるよ」「まだあるのね」なんて会話があちらこちらから聞こえて愉快だったね。
まあ、それだけの満足感を権太楼の「唐茄子屋政談」は与えたってことですよ。時間もマクラ入れて1時間!
「寄席休んでるんでワイドショーで歴史の男山根ばかり見ている」というマクラからゆっくりと、勘当される若旦那の噺に入っていった。若旦那が勘当になるまでもたっぷり時間をかけて描いて、行く場所もなく吾妻橋で身投げを決意するに至るまでで結構お腹はいっぱいな感じになった。そこから本所のおじさんの家に連れていかれて唐茄子屋、かぼちゃ売りになる様もじっくり描かれているから後半が本当に生きてくるんだなあ。一度は死を決意した吾妻橋を渡り、田原町で江戸っ子人情に助けられる一部始終から誓願寺店(せいがんじだな)に迷い込んで今度は逆に母子を助けることとなる展開がいかにも自然でよかった。最後はお白洲の裁きはサラッと語り、めでたしめでたし一件落着で割れんばかりの拍手となった。いや、いいもの見られました。寄席ではここまでの長講は無理でしょうからね。
中入り後、袴を脱いでの「天狗裁き」も結構なもんだった。間をあけずに展開していくので、こちらに退屈する隙を与えない、そこに独特のクスグリで女の夢を見たんだろうと女性の名前が次々に出てくるあたり実に楽しかった。権太楼の天狗には一度会ってみたいものと思った。
終演後、4人で亀戸駅南側の横丁にある「酒蔵 仙人鳥」に入り、最後の客になるまで落語談義に花を咲かせて西郊へと帰って行った。