sampodow2006-09-17


今日は疲れが出て、ほぼ一日寝ていました。人間寝ようと思えばいくらでも眠られるものですね。目を覚ましては、この間買い求めた磯田通史著「殿様の通信簿」を読み、ついに読了しました。いやあ、面白かった。磯田さんは新潮選書「武士の家計簿」で一躍有名となった歴史学者です。(私はそのベストセラーを読んでないのですが・・・)
「土芥寇讎記(どかいこうしゅうき)」という幕府隠密が調べた記録を元に幕府高官がまとめた本をネタ本として、水戸黄門から浅野内匠守、前田利家と有名な大名達がどんどんあばかれていきます。
写真はネット上で探しました、2代岡山藩主池田綱政公ですが、この人のことなぞボロクソに書かれています。なんと70人も子供をつくらせた人物ですから、無学文盲のエロ大名ということになっている。しかしながら、旅先では寝転がって宿の主の話を面白そうに聞いたり、行く先々で寺社の宝物を見せてもらったりと随分くだけた趣味人だったようです。お城では綱政にそっくりの子供達がうじゃうじゃいて、必ず複数の女性が妊娠中と大騒ぎ・・・ヒステリー気味のご婦人も出て、襖障子の開け閉めの音がする度に錯乱状態になったというからすさまじいですよね。心優しい綱政は「じゃあ、戸先に真綿をつければいいだろう」とやさしい計らいをしたということですが、それを伝え聞いた隠居の藩祖光政公の怒ったこと怒ったこと!!
光政公は戦国風の武に生きた人で、日ごろから息子綱政のやる公家風のことが気に入らなかったらしいのですが、この「真綿」で怒り心頭に達し、お城の馬場で種子島銃の演習をしたというから凄すぎます。お城の中に鉄砲の轟音が轟き続け、戸口に真綿をつけた障子がガタガタとゆれたんでしょうね。これで親子の仲が更に悪くなったそうです。
と、まあこういったエピソード満載のくだけた本です。前田利家-利長-利常3代の(といっても利長と利常は違腹の兄弟ですが)話もそれだけで大河物語でした。是非本屋さんで手にとってみてください。歴史好きの人なら引き込まれること請け合いです。(ただ、この磯田さんの文章は司馬遼太郎的言い回しが多くて、おやおやといった感がないでもないですがね。)