獅子 (中公文庫)

獅子 (中公文庫)

しなの・ひかりと乗り継いで静岡へ向かう車中で池波正太郎著「獅子」を読了しました。    
九十歳をこえてなお〈信濃の虎〉と謳われた真田信之−当主の突然の死に伴う後継者争いをめぐり、松代十万石の存亡を賭けて下馬将軍・酒井雅楽頭忠清にいどむ老雄の乾坤一擲の隠密攻防戦。(文庫カバー裏「内容紹介」)

真田太平記」に先がけて書かれながら、その最終章とも言うべき、真田信之の最晩年を描いた秀作です。「真田太平記」は真田昌隆から息子信之・幸村の波乱の生涯を史実を縦糸とし、甲賀伊賀忍者の暗躍を横糸として編み上げた傑作ですが、この「獅子」も隠密を巧みに駆使する信之と、4代将軍家綱に仕える下馬将軍・酒井雅楽頭忠清の放った公儀隠密との戦いを、真田松代藩3代目の跡目相続を舞台に描いています。

頼みとした長男信吉は早くに病没し、国を任せる資質の劣る次男内記信政にようやく譲り渡した時には、信之は90歳を越え、信政も60歳を越えていた。それから2年足らずで信政が中風で倒れ、あっけなく没してしまったのだ。跡継ぎには公儀に未届けの庶子正室の子でない妾腹の子)、それも未だ1歳の右衛門佐のみ!! 支藩の沼田三万石を治める真田伊賀守信利は我こそ松代十万石の藩主になるべきと、正室の兄にあたる酒井雅楽頭(うたのかみ)忠清と画策を始めるのだった。伊賀守信利は長男信吉の庶子であり、信之の孫だが、虚飾享楽への欲望が熾烈であり、その器ではないと信之に看破されている。酒井忠清は4代将軍家綱の寵臣で、江戸城大手門下馬札横に屋敷を構えていることから「下馬将軍」と怖れられている。そして数年後には大老に就任する大権力者である。さて、信之は長年の家臣鈴木右近と共にいかに下馬将軍の攻撃に立ち向かうか・・・乞うご期待!!

近々、真田伊豆守信之の隠居していた松代郊外の柴村に行ってこようかな♪

*[BOOK]