竹内明著「ドキュメント秘匿捜査 警視庁公安部スパイハンターの344日」

ドキュメント秘匿捜査 警視庁公安部スパイハンターの344日

ドキュメント秘匿捜査 警視庁公安部スパイハンターの344日


お墓参りの帰路のバス車中で読了しました。
最近は緊縮財政を課しており、極力本やCD・DVDの購入を抑えているのですが、悩んだ後買い求めたのがこの本です。
だって面白そうじゃないですか!!
日本はスパイ天国だ、なんて何も知りもしないクセに世界の常識みたいに考えている我々ですが、現に、警察庁警備局があり、公安があり内閣調査室があり、外国のスパイに対して防諜活動を行っているのも事実ですから、実際のところどうなのよ・・・と読んでみた次第です。
最近の話題で言えば、あの小沢氏の秘書が逮捕された件で自民党には波及しないなんてオフレコ発言した官房副長官漆間巌氏なんて元警察庁警備局長ですからね。日本の公安TOPだった人なんですよね。
さて、この本はといえば・・・
防衛省のエリートが在日ロシア連邦大使館駐在武官、しかしてその実態はGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)にハメられて、自衛隊の極秘資料を手渡してしまう現場を警視庁公安部外事第一課第四係の「ウラ」班が追い詰め検挙に至るノンフィクション。
というと非常に面白そうですが・・・
冒頭には著者の逡巡というか、どのように書き始めるかの迷いがみられ、アチコチに飛んだり、装飾過多であったりと、こりゃ読了は少しきついかな、と思われるところもありましたが、2,30ページ過ぎから筆も進み始め、ロシアのGRU等の組織、日本の公安組織を説明しつつ、ひとつの物語に絞り込んでいき、読みやすくなりました。欲を言えば、途中で登場した鈴木宗男と外務省のラスプーチンこと佐藤優がロシアスパイと会食するところを公安が確認するあたりの話を広げてもらいたかたですね。
仕事でも取引先とのやりとりの中では貸し借りというか、今回はムリをきいたので、次回はムリを聞いてもらうというような形で物事は進んでいくものですが、スパイの世界でもそうなんだということがわかりました。そうすると、日本は守りの防諜ばかりで、そういった貸し借りが出来ないのは苦しいことなんだなあと・・・
(翻って言えば、自衛隊もそうなんでしょうかね。)
防衛省エリートの子供が白血病で闘病しつつ、折り紙を趣味にしてみんなに見せたり、NPOの手助けで折り紙名人に見舞いにきてもらう話がありましたが、巻末の参考文献の中に、その折り紙専門雑誌の特定号が記載されているのを見て今更ながらにこの本はノンフィクションなのだなあ、と実感した次第です。
ただ、それにしてもここまで詳細に外に漏れていいもんなのでしょうかね・・・