さて、こんな本を読みました。土曜日、浅草煮込み通りに一緒に行った友人が持ってきてくれました。
- 作者: 中野晴行
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/02
- メディア: 単行本
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酒井七馬をご存知ですか? と訊いたところで知っている人がいるとも思えない。いたらスグに会いに行きたいくらいです。
ただ、万が一「知ってる」という人がいたとして会いに行っても、「手塚治虫の実質的デビュー作『新宝島』の共作者でしょ」という以上は会話が続かないでしょう。
「それから?」
「えっ」
「それだけ?」
「それだけ」
「・・・」
「・・・」
上の架空の会話の通り、酒井七馬は手塚治虫の実質的デビュー作「新宝島」の原作・構成をした大阪在住の漫画家です。
我々はそれ以上の情報を持ちえず、「新宝島」の原作・構成だけが彼の実績と思い勝ちなのですが、この本を読むと、それ以前もその後もたくさんの漫画や紙芝居、それにアニメの製作に携わっていたのでした。
帯にはこうあります。
「アニメ・まんが・紙芝居・絵物語と多彩な活躍をしながらも手塚神話の陰に消えた男。
手塚治虫の単行本デビュー作『新宝島』は、後の有名マンガ家たちからマンガを志すきっかけとなった作品として繰り返し賞賛されている。が、この作品は手塚ひとりの仕事ではなく、共作者がいる。現在手塚全集に収録されているのは、手塚がリメイクしたもので別作品といっても過言ではない。まるで封印されたかのような共作者こそ酒井七馬である。手塚と酒井の間には確執があったとも伝えられ、酒井は、コーラで飢えをしのぎ、電球で寒さをしのぎながら失意のうちに死んだと信じられてきた。しかし、それは真実なのか? 酒井七馬の知られざる生涯と、『新宝島』誕生の裏側へと迫る」
中野晴行は言います。「コーラで飢えを凌ぐといっても、コーラ買うお金があればもっと栄養のあるモノを買えるだろうし、電球で暖をとるなんてヒヨコじゃあるまいし・・・おかしいんじゃない
か?」と・・・ 私はその「ヒヨコじゃあるまいし」というところで大笑いしてしまいました。
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