世田谷美術館「中尊寺展」 それは素晴らしい展覧会だった!!!


いやあ、素晴らしかった。
この感想だけで十分な気がするんですが、その満足感は中尊寺、というよりその参考資料として展示されていた東北地方の多くの仏像から得られたものでありました。

私は日本中結構いろんなところを訪れていますが、平泉は未踏の地であり、藤原三代の栄華の幻につつまれた憧れの地であるのです。入場してスグに平泉を中尊寺を代表する金色堂の仏達が並んでいるのには驚かされました。本日のメインイベントと思っていたのが劈頭でのカウンターパンチでありました。
国宝 中尊寺金色堂西北壇諸仏
阿弥陀如来を中心に、前に観音勢至の両菩薩、さらにその前を守る持国・増長の二天像、それらの左右を補佐する3体ずつの地蔵菩薩・・・他に類を見ない構成にうならされました。見事なハーモニーを奏でています。それは交響曲の一章のような重厚感のあるものでした。
また、二天像を除く仏達の目がスッと切り込んだような細さであることも印象に残りましたな。
この西北壇は1156(保元2)年3月に没した2代藤原基衡の遺体を納めたものです。
それにしても、いきなりの主役登場で「ツカミはOK」ながらもアトはどうするの?と不安感を持ってしまったのもまた事実であります。これは最近の展覧会の流行ではあるのですが・・・そしてその不安はほぼ的中してしまったのですが・・・
思いがけず、半ばに東北の仏像達がズラリッと並んで私を虜(とりこ)にしてくれるハプニングがなければ、この冒頭部分の「ツカミ」のみがココロに残る展示会になったことでしょう。
さて、東北の仏像・・・
私は若い頃、唐木順三の「あずまみちのく」(中公文庫・絶版)を読んで強く東北の仏像にひかれました。
今回、展示されていた仏像は見てみたいと強く願っていたものが数多くあったのです。
鉈(なた)彫りの天台寺聖観音菩薩立像や、ボテッと腹の出た勝常寺持国天像、中尊寺近くの大東町にある二十五菩薩堂にある、「残欠」と呼ぶほうがいい頭部も腕・肩も失われトルソーとなった菩薩群・・・その形の美しさにも目をうばわれました。
と、たらたら書いたところで、見てもらえないことにはどうにもならん訳だが、中央(京都を中心とした畿内)から遠く離れた東北の、その独自の特徴を有した仏像群の素晴らしさはなんとか伝えたいという思いは強くあるワケです。
今回も頭に像の飾りを載せた伝吉祥天像が出品されている花巻郊外の成島毘沙門堂、ここへは東北旅行の際、訪れているのだが、その兜抜毘沙門天の素晴らしさは、以下の本の紹介HPの写真で確認してもらいたい。
こんな毘沙門天像は他にはないぞよ!!!


http://www.bunkaken.net/index.files/raisan/shodana/shodana40.htm