飯泉太子宗著「壊れても仏像」

壊れても仏像―文化財修復のはなし

壊れても仏像―文化財修復のはなし

なんちゅう変わった本を読むんだ!!とお思いになったみなさん・・・今は仏像ブームなのですよ♪
朝日新聞に掲載されていたニュースですが・・・東京国立博物館で開催されていた「国宝 阿修羅展」は61日間で総入場者数94万6172人という、同博物館の日本美術関連展覧会として史上最多を記録した、と報道されていました。
私は興福寺で何度も阿修羅像見ているしなあ…と行かなかったのですが、海洋堂のだしている阿修羅像のフィギアが欲しくて、同僚の白岡さんが行かれるというのでお願いしたところ、完売売り切れでした。
Yahooオークションを覗いてみたら、ナント2万円ですよ!!2万円!!
買えますかいな!!!
阿修羅像は今度は九州国立博物館でご開帳で、そこでも海洋堂の阿修羅フィギアが数量限定で販売されるようです。九州国立博物館大宰府天満宮の裏側?にあったハズ・・・そこでもスグに売り切れるんでしょうね。
さてさて、
そのブームのシッポに乗ったような本ではありますが、この本は仏像修復をNPO法人として仕事にされている仏像修復師の方の著作なのです。
本の表紙にコロコロところがっているのは・・・仏像の手や蓮台の蓮の花弁。趣味で集めているのではなく、手先等が失われている仏像の修理の際に参考にする為に彫ったり、シリコン樹脂で型をとり、石膏を流し込んで作ったレプリカを手元に置いているとのことです。
飯泉さんは京都国立博物館の国宝修理所で三十三間堂の1,001体ある千手観音像などを修理されていました。その頃には600体目の修理をしていたそうですが・・・もう最初に修理した観音像は少し痛みだしていて、修理所の方々は・・・
「それでは、永遠に仕事が終わらないねえ」
とみんなで話していたそうです。なんだか笑えるなあ・・・
今は茨城県で「古仏修理工房」を設立され、関東周辺でNPO活動による文化財修復を行っておられるのです。ですから、内容は茨城等のお堂の仏像修理の話が多いのですよ。
ニカワが経年変化でいかに剥がれ易く、バラバラになった仏像が多いか、また鼠や虫の巣になりやすい等、仏像がそのまま残っていくのが、いかにむずかしいかがよくわかりました。
非常に平易な文章で、仏像の知識がなくても読める内容なのですが・・・
読みにくいんですね。そこそこ面白いが読みにくい。
全く無作為に選んだ部分・・・

だが、そのように改変された修理の場合であっても、もとの像が最初に造られたであろう形に戻すのが、文化財修理の基本である。したがって、後の時代に修理が施された仏像、しかも何度も修理された仏像や、特にその台座部分は、立体パズルとしての難易度もあがるために、・・・

やはりセンテンスが長いからだなあ・・・。
「別れても好きな人」ならぬ「壊れても仏像」・・・興味のある方は是非ご一読ください。特に「2 究極の仏は脳内仏像―仏の三十二相の話」は基本的だけど余り知られていない話で必読ですよ。(仏像を作るときには32の特徴を示したマニュアルがあるのです。またそれがワケわからんマニュアルでね・・・)
とまあそういう事です。



そうそう、仏像ブームの証拠に・・・ほら今発売のBRUTUS (ブルータス) も仏像特集で、表紙は「阿修羅」です♪

BRUTUS (ブルータス) 2009年 4/15号 [雑誌]

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私も中学生の頃から1人で京都や奈良のお寺を訪ね歩いていましたからね。至って好きなのであります。




追記 : 昨日の最後に2003年に国立演芸場で「小朝の愛する人々」のことを書いて、演者のひとり「柳家小せん」の名について、そういや見かけないなあ…と思い、調べたら亡くなっておられた。ただ、本名がこの著者と同じ飯泉だったのには驚いた!!