雀々ひとりぼっち @紀伊国屋サザンシアター



昨夜は雨の中、新宿新南口の紀伊国屋サザンシアターへ行ってきました。それにしても新宿駅からサザンシアターは遠いなあ・・・実際には代々木駅からの方が近いそうですが道の便が悪そうなので、正攻法で向かいましたが大遅刻となりました。だいたい18時半開演で間に合うのはむずかしいのです。

冒頭聞き逃しましたが、マクラがどうも延々と続いていたようで、(それが聴きたかった)
会場に潜り込んだ時には一席目の「遺書」半ばでした。


今日はプログラムによりますと・・・


「遺書」(小佐田定雄作)


「除夜の雪」(永滝五郎作)


「戻り井戸」(桂枝雀作)


トーク


となっておりました。
前座もつけずに、それこそ「ひとりぼっち」で新作3本を喋るという意欲的な試みです。
「遺書」は小佐田先生作で、断定出来ないものの雀々師に書いた作品でしょうか? よく演じられていたようです。
「除夜の雪」といえば米朝師匠が今の形に整られたもので、ベストセラーとなった立川談春師「赤めだか」の中にも、この噺をやるにあたって米朝師匠のご自宅に挨拶に行かれる有名なシーンがあります。
晦日の雪降る大阪のお寺での怪異譚とでも言うべき噺で、失礼ながら雀々師のニンに合わないと思っていたら、それが大間違い!! ピッタッと蛸の吸い口のように合っていて、噺に引込まれました。今まで米朝一門の色々な方でお聴きした中では一番よかったのではないでしょうか。


そして、トーク。サプライズゲストは千原ジュニアさん!! 有名な落語マニアで雀々師を「すべらない話」に推薦したという方ですから、枝雀師匠の思い出話を上手に雀々師から聞き出してくれるいいゲストでしたね。
ご本人も何年か前の大銀座落語祭で「死神」を口演していらい、落語をまたやりたいという熱い気持ちがある様子で、世界のナベアツに続いての落語家誕生も夢ではないようでした。

続いて少しだけ場つなぎのように、月亭邦正こと山崎邦正が現れて「僕は挨拶で来ただけでノーギャラや」と叫び、
最後の「戻り井戸」へ・・・

これは枝雀師匠作のこれまた奇妙な話ですね。
気がつけば男は深い穴の底におり、上に見えている空に向かって「助けてくれー」と叫ぶ安部公房的設定。
熱演されました。師匠が乗り移っているかのような熱演でした。
「戻り井戸」は完全に雀々師の噺になっていましたね。
惜しみない拍手を送りつつ、今日来てよかったなあ・・・と満足して帰路についた次第です。


それにしても「入り」が悪かったのが気になります。サザンシアターの中央通路より後ろにはほとんど客が入っていませんでしたからねえ・・・


3月は東京公演が多いとのことで、是非いくつかは拝見したいものです。みなさんも是非!!