京の噺家桂米二でございます 新橋内幸町ホール

天気も悪く体調も悪い中、新橋まで上方落語を聴きに行ってきました。2連チャンでして面目ない次第です。


桂 雀太     道具屋


桂 米二     七度狐


桂歌之助       はなし家入門


桂 米二     壺  算


中入り


桂 米二     景  清


会場はほぼ満員の入り。米朝事務所の方に聞くと、昨夜の佐ん吉・ちょうばのお二人さんも今日は裏方としてお手伝いされてるとの事でした。

まずは雀太さん。雀三郎師の三番弟子です。ネタはお馴染み「道具屋」。筋運びや笑いの取り方が粗っぽく感じられました。特に最初の売り物説明のやり取りをもっと丁寧にしてこそ、アトに効いてくるのではないでしょうか。粗雑さと紙一重ながらも豪快さを持っていて、そこがうまく伸びると一味違う噺家に成長されるでしょうね。

米二師の「七度狐」はリクエストされた方が今日来られてない、と嘆かれながらも「ネタ出ししてるさかいしゃあない。」とスタート。まさに正調と言っていい結構なものでした。

歌之助さんは新作「はなし家入門」
「道具屋」の稽古で悩む噺家が落語好きの居酒屋や歯医者に相談に行くという、肩の力を抜いて聴けるネタでした。よくやられているのでしょうねえ…よく繰れていて「膝がわり」として重宝されるに違いない噺に仕上がっていました。

お後は米二師2席。
「壺算」と「景清」。「壺算」も結構でしたが、本日のお目当ては「景清(かげきよ)」です。刀の目抜師定次郎が目を病んで失明、医者に見放されて後は神仏への願掛けを続けます。すると清水寺の観音さんがお出ましになり、源平合戦の頃に景清が自らくり抜いて奉納してあった目玉をさし与える、という噺。(NHKの朝ドラ「ちりとてちん」ではこの噺の引用で「へしこ」の目が見開いて大笑いさせてもらいましたなあ・・・)
少し前に読了した堀井憲一郎の「落語論」でこの「景清」を取り上げていたんです。堀井さんは京都での学生時代に人前で上方落語を演じてよくウケていたそうで、友人に「今度は『景清』をやりたいねん」と相談したところ、「なんで、地味な噺を?」と訊かれ、「『それから、目エが疼いて疼いて』を言って、どっと笑わせたいねん」と返答して「やめとき、やめとき」ととめられたとのこと。どんな部分かと言えば・・・
定次郎が清水さんの前に、柳谷の観音さんにお籠もりしたところ、真夜中で若い女性と二人きりとなり、なんとデキてしまう・・・そこで「少し下がったところに小料理屋がありますけど行きませんか」「行きましょ♪」と二人で仲良く抜け出した。「よく金があったなあ」「いや、賽銭箱から頂戴して」「えっ!! そんな事したらバチがあたるで」「それから、目エが疼いて疼いて」という笑わせどころなんですが・・・
米二師は期待に反してアッサリ通り過ぎはりましたなあ・・・

外に出ると、まだ明るかったものの雨が降ってましたのでトボトボ帰宅したのでした。早く帰って「バンキシャ」が観られる落語会もええなあ。