映画終了後、日比谷を少し散策しました。ザ・ペニンシュラ東京の前(写真左上)を通り、戦後GHQの司令部がおかれた第一生命ビル(写真3枚)の前に出ました。昭和13年に建設され、銀座和光ビル(旧服部時計店)と同じ渡辺仁の設計したビルで、直線の使い方等がモダンなものでした。

第一生命ビルの隣には帝劇があり、その中には出光美術館がありましたので覘いてきました。
今は「没後170年記念 仙崖・センガイ・SENGAI −禅画に遊ぶ−」をやっていました。仙崖は左のポスターを見てもらう通りヘタウマというかヘタな絵を売りにした江戸時代、九州にいた禅僧です。 ただ、仏画などはうまいし、「鐘旭(しょうき)三種神器図」なんかは与謝蕪村の絵と並べても遜色のないものなので、決して本来的にはヘタな人ではないようなのです。そこが禅僧のひねくれ方なのか、ウマく書く必要はないという境地で書きなぐっているという風なんですね。「ウマい」とか「ヘタ!!」とかはどうでもよく、「味」さえあればよいのじゃ!!ということでしょうか。
なにしろ、ただ○△□が並んでいるだけの軸があるんですよ。そして、この○△□が禅画の世界では有名だから困りますよ。そうそう、○だけのもある。この○には「これ食うて茶飲め」と書いてあるから餅なのかなあ・・・とは思うのですが・・・。
ポスターの絵は代表作なんですが、ニュースで麻生さんがしゃべっている後ろに写っていた自由民主党のマークの構図が全く一緒なのに気づきました。(笑) 一番面白かったのは「とど図」で九州の浜に打ち上げられたアザラシを見に行って書いたものなんですが、どう観ても、顔はアザラシでしっぽはパイナップルなんですよ。


江戸時代にもこの人の絵は大人気で注文が殺到し、嫌気がさして絶筆宣言をしたりしていますが、こういう絵の人気が出るというのは平和な証拠なんでしょうねえ。出光の創始者がこの仙崖の大コレクターで、今でも出光興産のカレンダーはこの人の絵なんですよ。
若い頃、私は会計事務所に勤めていまして、尼崎の方のガソリンスタンドを担当に持っていた関係で、毎年この仙崖のカレンダーをもらっていました。漫画なんかを少し描いていた私はこの人の絵を見て「なんやこりゃ?」といつも首をひねっていたのを思い出します。



ところで、この出光美術館、日比谷堀越しに皇居を見下ろすことの出来るビューポイントでした。窓際に椅子がたくさん置かれており、皇居の緑を眺めながら寛げます。また来たいものです。





〈 エレベーターを降りたところの美術館入口へのエントランス 〉



〈 皇居越しに大手町方面を眺めています 〉