本物の絵 印刷の絵

少し前の話ですが、あがってしまったバッテリーを交換しに、荻窪ダイハツ・ユーズカーに行ったついでに、東京を横断して上野公園まで行ってきました。それは東京に引っ越してきて最初の遠出(?)にあたりました。それまでは中野のホームセンターや小金井公園に行っただけですから、上野は十分「遠出」と言えるのではないでしょうか。違う?



上野へ行った主目的は東京藝術大学大学美術館で開催されていた「金毘羅宮 書院の美 〜応挙・若冲・岸岱」を観るためでした。左のポスターをご覧ください。円山応挙の虎が水を飲もうとしているところです。この迫力に魅了されて上野へ馳せ参じたという次第です。もう終了した美術展なので小言も許されるでしょうが、この肝心の「遊虎図」の、水飲む虎が蝋燭を模したと思われる下からのライトアップで薄ぼんやりとしか見えないのです。映画のセットならわかりますが、あのライトアップはやり過ぎで鑑賞のさまたげ以外何物でもなかったですね。折角の虎が・・・台無しです。
素晴らしい、応挙や伊藤若冲の絵に心惹かれたもののライトアップ以上に邪魔してくれたものがありましたよ。金毘羅さんの書院の一部の絵は実物なんですが、たとえば1枚の襖絵が実物とすると、それに並ぶ襖などは協賛のキャノンによる印刷なんですね。それぞれのブースに表示があって「このうち、赤線で囲っている部分は本物、あとはキャノンの大型プリンタによる印刷です」って誇らしげに書いてあるんです。技術の素晴らしさは認めますが、我々は一体何に集中して鑑賞すればいいのか悩まされるのでした。言い換えれば「本物の持つ力」が弱められているんですね。本物が「見よ!!」と迫ってくる、本物力がまわりのCANON力に封印されている訳です。こういう展示はあっていいと思いますよ。ただ、それは一部にすべきであって、どの書院ブースもこれでは、なんだかガックリきてしまいました。本物以外はモノクロにするとか、全て印刷の書院を作り、本物は別に展示するとか・・・そういう工夫が欲しかったですね。人間の想像力を奪う展示方法には疑問を感じざるをえませんね。
とはいっても、身近に観られた若冲の「花丸図」は美しく感動させられました。

http://www.asahi.com/konpira/exhibition/index.html

このHPで美しい「遊虎図」や「花丸図」がご覧いただけます。是非一度観てください。



東京藝術大学大学美術館で同時に開催されていました「芸大コレクション展 歌川広重《名所江戸百景》のすべて」は浮世絵という小さな世界ながら本物力に圧倒されて楽しめました。スゴいね♪広重って!!

http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2007/collection200707/index.htm

このHPで119枚もの浮世絵が見れますよ。098の「深川萬年橋」なんて好きだなあ・・・
絵は小さいのですが、上にある「広重マップ」を開いてポイントをクリックするとその地にちなんだ浮世絵が大きく出てきます♪
これは結構面白い!!


追伸:あの―、貼り付けてあるのは美術展のポスターで、色々な絵を虎を中心にコラージュしてあるものだからね。こんな絵じゃありませんよ、みなさん!! 頼むからそれぞれのHP見てね。