長岡・新潟と続いた冬場所遠征もこの日曜でようやく終了しました。
その準備や片付けに追われ、たまった日常業務に埋もれて疲れもとれぬままバタバタ&アタフタと過ごしています。

そんな遠征中に2冊の本を読了しました♪


芥川賞作家南木佳士の新刊2冊です。
私は彼の作品が好きでデビュー以来、読み続けてきましたが、この2冊は50の半ばも過ぎ、うつ病から回復しつつある著者からの手紙のような作品でした。

「トラや」が小説、「からだのままに」がエッセイ集ですが・・・どちらも私小説のように読めますね。

日本文学界のお家芸とも言える「私小説」・・・
だいだいにおいて「私小説」というのは「明るく前向き」ではなくて「暗くて後ろ向き」なものですが、この小説&エッセイも見事その伝統を踏襲しています。
ただ、うつ病からの回復期であり、登山等をはじめだしりと若干希望があるのがうれしいですね。
「トラや」は庭に迷い込んできた猫「トラ」と家族の生活を描いたものです。


トラや

トラや

からだのままに

からだのままに


確かな家族の一員として4人家族に愛されて元気に過ごすトラも歳をとっていきます。やがて、二人の息子達も就職して家を離れます。静かな生活の中、日々弱っていくトラをやさしく見守る夫婦の日々、やがてトラは見守られつつ息を引き取ります。
あとに残された主人公はトラの不在を感じ続けるのでした。

ラストのページにある元気な頃のトラの姿が印象的な一冊でした。