立川で「崖のうえのポニョ」を観る


小金井散策の後にわざわざ都心に出掛けることもなかろうと、立川の映画館をチョイスしたのですが、これがなかなかグッドな映画館で気に入りました。
立川駅北口より徒歩6分のCINEMA・TWO・・・おそらく違う場所にONEがあるんでしょうね。「たちかわ第二デパート」の北側です。この「たちかわ第二デパート」の2階にはHMVがあり、3階には大型書店のオリオン書房があるというのもお気に入りのひとつです。

さてさて、肝心のポニョですが・・・
なにやら、観ようによってはむずかしい、また観ようによってはストーリー上に破綻をきたしているような映画でございました。
イメージとしては・・・人魚姫+八百屋お七コクーン って感じでしょうか?
あと、アルプスの少女ハイジも入っているかな?

このアニメを観に行こうと決めた動機はこの間も記したとおり、NHKのドキュメンタリーを見たことと、この舞台モデルが広島県の鞆だという話を聞いたからです。個人的には日本の中で好きな場所ベスト3には入る鞆の浦・・・もう3回は行きましたかね。ホント風光明媚ないい所です。そこに今、交通渋滞緩和のため港のある湾岸沿いに道路を走らせようという話が持ち上がっているというので驚いてニュースを見ていましたら、反対運動の理由のひとつとしてポニョの構想を練る際に宮崎さんがこの鞆の浦に滞在され、出来上がったアニメにも、その風景が反映されている、ということから「ポニョの舞台を壊すな!」というスローガンが掲げられていました。

実際、アニメで確認したところ、鞆の浦でしたねえ・・・



ただ、そこをノアの箱舟伝説のような津波が襲うというのはどんなもんだろうか、とも思ったのですが・・・それもポニョが宗介に逢いたいが為にね。(これが、八百屋お七を連想するところですよ。逢いたい駒込吉祥寺小姓の吉三に逢うために江戸の町に火を放ったお七と、宗介に逢いたいために大津波をつくったポニョ・・・似ていませんか?)

〈ここよりややネタバレ〉
ドキュメンタリー番組は事実を素材として扱い、結局は製作者の主題へ持っていこうとすることが多く、NHKの番組も宮崎監督の病気がちで入退院を繰り返していた亡き母への思いに集約させるような構成になっていました。「ポニョ」ではデイサービスのホームに訪れているトキさんという少々頑固な車椅子のおばあさんにそのイメージを持たせて、ラスト近くに、宗介を助けようと、立ち上がって走り出す姿がクライマックスのように描かれていました。
アニメを見ると確かにそのシーンはありましたが、ストーリー上もその場面に焦点があってなく、感動することはなかったのでした。(ここがハイジですね。トキさんはクララというワケですな。)
感動出来なかったのは、その前に今や海の底になっているホームで、ポニョの両親の不思議な力で苦しむことなく、いやそれ以上にイキイキとしているお婆さん達が、日頃は車椅子なのに、走り回っているシーンの後にそのシーンがあったからですね。(ここがコクーン!!)

ただ、なんやかやと言っても、イメージの豊饒な事といったら他の追随を許さないものがありますね。冒頭の堀文子さんの絵を思わせる微生物の乱舞や、宗介が沖の船にいるおとうさんと電燈の点滅によって会話するシーンのなんと映画的な事!!(宗介が船員の帽子をかぶっているのもGOOD♪)などなど、数え上げたらキリがなく、こんな映画を幼少期に観られる子供達は幸せだなあ・・・と思わずにはいられませんでした。