「芝棟」をご存じですか?

先日紹介しました藤森照信著「天下無双の建築学入門」。
面白く、興味深い話題満載の中で、是非とも取り上げたかったのが「芝棟」のお話です。
みなさん、「芝棟」ってご存知ですか?

草葺屋根の棟の防水方法の一つで、乾燥に強いイチハツ・イワヒバなどを植えたものだそうです。
いまでも、岩手県一戸から青森県八戸にかけて残っているとのこと。屋根の上でイチハツ(小型のアヤメ)の花が咲いているなんて素敵ですね。
藤森先生は日本書紀蝦夷の住居を「夏は樔(す)に宿(ね)冬は穴に住む」とある「穴」を土を上にのせた竪穴式住居ではなかったかと推測されています。防水にも暖房にも最適ですからね。そして、そこには草が生えていたのではないか? 戦いつつ、その住居に逃げ込む蝦夷を見て、「穴に住ん」でいると感じたのではなかろうかと・・・ その延長線上に、今も残る「芝棟」あるのではないだろうかと考えられています。
ところで、この「芝棟」があるのは日本だけではないのです。それも日本を遠く離れた北欧やフランス・ロシアにあるというから驚きです!!
それも日本でイチハツを植えるように同じアヤメ科のアイリスを植えているとのこと!! 一体どういうことでしょうか?
本ではフランスノルマンディ地方の芝棟集落を訪れた際のことが喜びを持って描かれています。またベルサイユ宮殿敷地内にあるマリー・アントワネットが寛ぐ為に造らせた「田舎」の中にも芝棟はあったそうです。
藤森氏の設計された家々の屋根にもタンポポやニラを植えられてますから「芝棟」には相当の思いを持っておられるようです。
5月頃に芝棟を見に出かけようかな!! そうそう水戸の偕楽園にも水戸黄門ゆかりの見事な芝棟があるそうですよ。






芝棟―屋根の花園を訪ねて
作者:亘理俊次
出版:八坂書房
発売日:1991/12

八坂書房HP 素敵な芝棟の写真が見られますよ♪
http://www.yasakashobo.co.jp/books/detail.php?recordID=139

■西方設計HP 日本やフランスの芝棟の写真がたくさん見られます。
http://www.nisikata.co.jp/n2002/15.kyukei2-1.html