宝塚で考えた

この三連休に宝塚まで足を伸ばしました。この沿線はひとつひとつの駅名に思い出がやどります。雲雀丘花屋敷・・・酔っ払って、石橋と間違えて下車し、どんどん坂をあがっていって、気がつけば山の中に入っていたことがあります。ホントあの時は狐にばかされたような気がしましたね。
 山本・・・ここから最明寺滝まではスグですね。何度か多田の方まで歩いたことがあります。植木の名産地♪ですね。
 中山・・・安産の中山寺が目の前です。奥の院へのハイキングに行ってガレ場をすべり降りるのが怖かったなあ・・・
売布神社・・・深夜1時頃、ちらつく雪の中、このホームで目覚めました。酔っ払って乗り過ごしていたんですね。危ない、危ない、もう少しで凍死です。 
清荒神きよしこうじん)・・・清荒神へと続く長い参道には七味とうがらし売りやら色々なお店が並んでいます。随分歩いて、高速の高架を超えると境内です。真言三宝宗大本山清澄寺・・・HPによると宇多天皇により896年開基とあるから相当な名刹ですね。境内の奥に鉄斎美術館があり、日本でも有数の鉄斎コレクションは見事なものです。私も一度いきましたよ。 
そして、終点宝塚・・・子供の頃から何度足を運んだことでしょうか。日本人の背丈に合った和製ディズニーランド『宝塚ファミリーランド』そして、併設する動物園は残念ながらもうありません。ここにいたゾウやライオンやトラはどこへ引越したのでしょうか。



さて、久し振りの宝塚です。阪神大震災後、見事復興した街は高層マンションに取り囲まれていました。震災後、見る影もなかった「花の道」(上の写真がその入口)も元の通りに復元されていました。道の真ん中に盛り上がった歩道・・・言ってみれば鎌倉の鶴岡八幡宮に向かう段葛(だんかずら)のようなものですね。ここを進んでいくと宝塚歌劇場へとつながっています。

  

写真左が歌劇場、右がその前にあった小林一三像です。逸翁小林一三箕面有馬鉄道の経営者でした。ところが電車は有馬までつなげることが出来ず、終点の宝塚にレジャーランドを創って集客をはかりました。少女歌劇の「生みの親」でもあるので、こうして歌劇場前に銅像があるのですね。

でも、今回の目的は歌劇場ではなく、ファミリーランドの跡地にノスタルジーを感じるためでもなく、その先にあるのでした。






宝塚市手塚治虫記念館です。
渋谷での大・大阪博覧会で手塚治虫の描いた「2代目桂春団治興行ポスター」を見て、そのポスターが通常は手塚治虫記念館にあることを知り、未だ訪ねたことのない記念館に一度行ってみようと思ったのでした。
外観はご覧の通り、レインボー色の入ったやや恥ずかしいものでしたが、近づくに連れて、それこそノスタルジーの靄に包まれていったのでした。私は中学から高校にかけて大の手塚ファンでした。ちょうどそれは手塚治虫が「ブラックジャック」や「三つ目がとおる」そして「火の鳥」等を次々と執筆していた何度目かの絶頂期に重なっていました。



入口には火の鳥の像があり、地面にはたくさんの手形が押してあります。手形は手前の大きいのが「マグマ大使」 あれ?こんなものかね、と思いましたが・・・TVと違って手塚漫画でのマグマ大使はこんな大きさだったかもしれません。その右上がガロン、ガロンかあ、なつかしいなあ。その上が名脇役アセチレン・アンプで、その上の四足がバンパイヤです!! めっちゃ、なつかしいなあ・・・


500円を払って中に入ると、まずは常設展示です。写真のようなカプセルの中に手塚治虫の幼少期からの思い出がおさめられています。ひとつひとつ覗いて行きましたが、やはりなつかしいですね。一時期、神様のようにあこがれていた人ですから、結構ここに展示してあるモノは写真でだけれど目にしたことのあるものばかりでした。子供の頃に書かれていた漫画のノートや昆虫図鑑(この詳細な昆虫図鑑には驚かされますね。)それに宝島の漫画等等・・・
今日は生憎と春団治興行ポスターがありませんでしたが、あったと思われる場所には最も初期のカラー色紙が飾られていました。
手塚治虫少年は池田の、私の自宅からも近い大阪教育大学付属小学校に通っていました。そして、うちのオフクロはなんと手塚治虫の妹と同級生だったそうです。(同じ同級生の方は手塚さんの原画を何枚ももらっておられ、あの「なんでも鑑定団」に出演していました。)神様ながら手塚治虫はそんな具合に私にとっても身近な存在でもあったのです。



  




天井のキャラクター達も輝いて見えました。2階は特別展のフロアです。今は「手塚治虫の原画の秘密展」が開催されており、その入口には手塚治虫が一生涯で描いたという枚数の紙が積まれていました。(写真右)
スタッフ指示等のために途中でコピーされた原画と完成後の原画が並んでいたり、連載時と全集採録時の原画の比較等、ついつい立ち止まって凝視してしまうものばかりでしたね。その中には朝日新聞(大阪版)に掲載されていた「最近発見されたブラックジャック」の原画もあり見ごたえ十分でした。


http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK200709280047.html



「うわー、もう一度来たいなあ・・・」と思いつつ記念館を出ようとした時、入口にあった鉄腕アトムに目がとまりました。恥ずかしいような天真爛漫さで未来を夢見ているその笑顔がなんとも素晴らしく見えました。普段ならハスに見てしまう、小バカにしてしまうかもしれないその姿を直視したのもこの記念館でココロの垢を少し落としたからでしょうか。



などと言いつつ、その足元にあるモノの方に目が行きました・・・


犬型パトカー!! こんなお土産が欲しい!!