野村克也著「ああ阪神タイガース」 

面白いので一気に読了したのが・・・


この写真は面白くないですね。とすると、最近の本がいかに腰帯で助けられているのか!!ってことですな。腰帯をつけるとこんな感じです。

「私が、壊せなかった巨大な壁とは何か−。」
この本を読みますと、その壁を星野はよう壊した!! ということになり、謙遜しながらも、そのお役に少しはたたっかな?というのが「野村の考え」のようでした。
少しややこしい言い回しになってしまいましたね・・・「巨大な壁」は一言でいえば「慢心」につきるのかもしれません。
オーナー・フロントの「慢心」・・・優勝するより2位でいい、それで選手の棒給をあげずに済むし観客は満足して甲子園に来てくれる・・・スカウトも中途半端で即戦力を狙わねばならない時に高校生ばかりを獲得する。「間違いなく超高校級です。未来のエースです。」とスカウトの推薦でドラフト上位入団した時には既に肩を壊していたとかね。
野村監督が即戦力を要望した1年目に獲得したのは高校生の藤川球児!! 今でこそ押さえのエースですが、頭角を現してきたのは一昨年ぐらいからですもんね。万年最下位の阪神には4番打者とエース級の投手がどうしても必要だったのですがね。
選手の「慢心」・・・マスコミやタニマチにちやほやされて、それ程の成績をあげていなくても自分はスターだと勘違いしている。力ある選手もチームプレーより自己優先で戦略戦術の考慮なし。
OB・・・阪神の監督・コーチはOBの利権であるという思い込み。それでいて野球の研究をしようとしない「慢心」
そしてファンの「慢心」・・・

やはりV9時代の巨人を比較にし、いかに阪神が「伝統」を語るにふさわしくない球団であるかを語っているのですが、後継者教育のところで、巨人が南海に対し、長島の控えとして富田を欲しいという要請があり、会談場所に当時南海監督であった野村氏が行くと、川上監督と共に長島茂雄がいて驚いた、という逸話がありました。
この逸話には私も驚きましたが、「後継者教育のため、トレードの現場に立ち合わせたい」と川上監督が言われたとのことに、思わず「敵ながらあっぱれ!!」と思いました。
まあ、その巨人軍の伝統も王監督で途切れてしまったようですが・・・(笑)

星野が素晴らしいところはトレードもドラフトも自分で動いたことだ、自分には出来なかった。ただ、言うだけだった。それだけ星野が広い人脈を持っていることもすごい、と脱帽していましたな。
そして、今の岡田監督がその星野の作り上げた「阪神のあるべき姿」を継承しているかといえば・・・甚だ疑問だ。とも言っています。

確かに愚痴も多いながら、経営論・上司部下論としても面白い一冊ではないでしょうか。

最後に野村氏は言います。  思えばヤクルトで何度も優勝してハングリー感を持たぬまま、阪神の監督を引き受けてしまった。ただ今は違う、阪神の監督でついてしまった汚名返上のためハングリー精神を持って楽天の監督をやっているのだと・・・

野村監督は先に「巨人軍論」という新書も出されています。併せて読んでもみようかとも思いましたが、おそらく幼少より巨人ファンだったノムさんのV9時代賞賛話じゃないかと、敬遠のファーボールを出しました。




閑話休題