某月某日 千葉方面に仕事で向かいました。
明大前から都営新宿線直通元八幡(もとやわた)行き快速に乗り、元八幡で京成に乗り換えると言う予定でした。元八幡で下車して食事をしようと思いましたが、ほとんどお店がありません。
そこで、駅の横にあった大黒家というお店に入りました。
京成の八幡駅越しに見えるお店が大黒家です。和食系のお店で寿司・鰻と看板にありましたね。たのんだのはお昼のランチ「ちらし寿司 840円」
おいしくいただきつつ、ひょいっと横手に貼ってあるメニューなんかを見ていると・・・大変気になるモノが目に入りました。
なんと、この店は永井荷風が最晩年に毎日のように食事に訪れていた店なのでした!!
ここにはこう書かれていました。
「荷風先生の『断腸亭日乗』最後の日となる昭和34年4月29日まで、晩年毎日のように召し上がっていたのが大黒家のカツ丼でした。上新香と菊正を一合がお決まりのオーダーでした。 左の写真はその当時の大黒家です。 下の写真が荷風先生のセットです。 1260円」
へえーっ!! 携帯で調べると、永井荷風が亡くなった最後の家はこの大黒家からスグそこだということがわかりました。今日は仕事ですからね・・・京成電車でこの地を離れましたが、今度また、休日にこのあたりを探索してみたいものです。
そうそう、食事していたら変なオジさんがレジの女将さんにからんでいました。「『四畳半襖の下貼り』を譲ってくれ!!」・・・そりゃ、荷風作と言われている春本(エロ本)じゃないか!! 女将さんも「うちにはないんで本屋さんできかれた方がいいですよ」と丁寧に応対してましたが・・・本屋にもないよ!!
帰宅後、岩波文庫の永井荷風「断腸亭日乗(下)」を見てみると、成る程成る程、大黒家がやたらと出てきていますね。
昭和34(1958)年3月
3月11日。 晴。正午大黒家食事。
3月12日。 晴。嶋中高梨二氏来話。病臥。大黒家晩食。
3月13日。 晴。正午大黒家。
3月14日。 晴。正午大黒家。相磯氏来話。
3月15日。 日曜日。晴。正午大黒家。
3月16日。 晴。正午大黒家。
3月17日。 雨また陰。正午大黒家。
3月18日。 晴。正午大黒家食事。
3月19日。 晴。正午大黒家。
3月20日。 晴。正午大黒家。
3月21日。 祭日。晴。
ほぼ毎日ですよね。3月の記録はここで終わり、4月は10日から始まっています。そして、
4月29日。 祭日。陰。
を最後に「断腸亭日乗」は終わります。4月では唯一、
4月19日。 日曜日。晴。小林来話。大黒家昼飯。
のみに大黒家は出てきますが、記載がないだけで連日来ていたのでしょうね。
- 作者: 永井荷風,磯田光一
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