阿部達二著「江戸川柳で読む忠臣蔵」

実は旧暦でいきますと・・・昨日が赤穂浪士討ち入りの12月14日だったのです。
そこで、今年最初に読了した新書をご紹介致します。

江戸川柳で読む忠臣蔵 (文春新書)

江戸川柳で読む忠臣蔵 (文春新書)

史実(に基づく、と言ったほうがいいのかな?まあ史実)の赤穂事件はそこそこ知っているのですが、人形浄瑠璃や歌舞伎の仮名手本忠臣蔵は中途半端にしか知っていなかったので、いい勉強になりました。
川柳の読み手達にとっては「仮名手本」こそが忠臣蔵だったわけですからね。
大序から十一段目まで順を追って内容を説明しつつ、そのパロディでもある川柳がたくさん掲載されておりました。
そうそう、落語でも四段目の切腹の場や七段目の一力茶屋の場がよく出てきます。四段目なら、「蔵丁稚」や「淀五郎」、七段目はそのものズバリ「七段目」
ご存知の方も多いでしょうが、「仮名手本」では時代を太平記の時代に設定し、登場人物を読み替えているのです。吉良上野介高師直(こうのもろなお)、浅野内匠頭を塩冶判官(えんやはんがん)、そして大石内蔵助は大星由良助(ゆらのすけ)を替えます。
赤穂は塩の名産地でした。そこで、

○ 浄瑠璃にしても 苗字へ塩を入れ

浅野内匠頭吉良上野介に「鮒侍!!」とののしられ、刀に手をかけ鯉口をきってしまいました。

○ 鮒の例えに鯉口を抜きはなし

○ 御刀も気も短いに長袴

お城明け渡しの場には役者総出となります。そこで、

○ 馬の足 上下(かみしも)を着る 城渡し

五段目でイノシシが出てきますが・・・江戸時代にもイノシシは食べていたそうで、江戸でも麹町に山奥屋という店があったそうです。

○ 五段目を蛇の目につつむ山奥屋

七段目で酔った由良助に師直の手先斧九太夫が主人(塩冶判官)の逮夜(命日の前日)だが食べるかえ、と蛸を勧める。食べたら討ち入りはないであろうとの推慮だが、由良助はお見通しで蛸に箸をつける

○ 国家老鮒の逮夜に蛸をくい

○ 足はくい その手はくわぬ 由良助

といろいろありまして、討ち入り!!

○ 莨屋(たばこや)じゃないかというと袈裟に切り

○ 目印は 殿がひたいに つけてやり

○ 星が出てあさの恨みを夜晴らし

とまあたくさんの川柳が紹介されているのです。一度本屋さんでまずは立ち読みしてくださいな。


参考にして、私も一句・・・


秘書官が そっと手渡す 仮名手本