吾妻ひでお著「逃亡日記」

以前、吾妻ひでお著「失踪日記」というマンガを紹介しましたが、この本はその大ヒットに便乗本ですね。冒頭の9ページ程のマンガにこう書かれております。
あずま「てかこれ『失踪日記』の便乗本じゃないのっ」
編集者「そうすよ」
あずま「・・・・・・・・」
編集者、タバコをふう〜
あずま「皆さんこの本買わなくていいです!」


逃亡日記

逃亡日記


でも買ってしまいました。
冒頭の、漫画より前にあった16ページに及ぶ、失踪当時の場所を再訪しているカラー写真ページで即買を決定しました。
(もっとも、そのカラー写真後半にはメイドモデル「ゴールデン小雪」ちゃんと失踪時の思い出の地である小金井公園でのからみ写真もあり、ちょっと手がすくみましたが・・・)
特に大開き2Pに渡る東伏見の雑木林の道沿いに傘をさしてボウと突っ立っている吾妻氏の写真は「トロロ」のネコバスを待っている風景と余りにも似ていて驚かされました!! (しかも、その森の中で吾妻さんは失踪生活をしていたんですねえ・・・ ビックリ!!)

本としては「失踪時代」と「アル中時代」に関するインタビューが半分、残りは北海道での少年時代から上京しデビュー後今日にいたるまでの漫画人生のインタビューという内容です。
吾妻みきおは手塚治虫石ノ森章太郎に傾倒し、「おらあグズラだど」の板井れんたろうのアシスタントを短期間してから1969年に19歳でデビューしたんですね。その後はSF調、ロリコンタッチの美少女モノで一部熱狂的ファンに支持され続けながら、失踪したり、アル中になった病院にいれられたりしながら現在に至るんですなあ・・・
それにしても訳注がやたらと多いんです。それらが懐かしい名前、作品ばかりなんですよ。
なんだか知らない間にたくさんの人が亡くなっておられるんですねえ・・・
福地泡介佐藤まさあき光瀬龍・・・

約10年ほど、秋田書店に拘束されて、少年チャンピオンを中心に書き続けていたというだけに、少年チャンピオン系の話は面白いですねえ・・・
名物編集長壁村耐三を中心にした話ですが、彼は手塚治虫を殴ったという伝説や、「手塚に自由にさせると大河モノを書いてしまうから、読みきりしか書かせない」との縛りからあの名作「ブラックジャック」が生まれたとか、鴨川つばめが「マカロニほうれん荘」をやめてから少年キング(余り買わなかったけれど懐かしい!!)で復活した時に秋田の担当者が「あの時に潰しておけばよかった」と言ったとか・・・まあ、いろいろな話がのってます。

結構お買い得な本だと思いますよ。ただし、「失踪日記」を読んでからね。


http://d.hatena.ne.jp/sampodow/20070807