東京国立博物館「記念座談会 古墳時代金属器の修理・模造と復元」

今日は昼から東博へ行ってきました。
平成館1階で開催された「記念座談会 古墳時代金属器の修理・模造と復元」を聴きに行ったのです。出席者は東京国立博物館工芸・考古室長の古谷毅氏・橿原考古学研究所共同研究員の鈴木勉氏、金工作家の押元信幸氏と同じく金工作家でアメリカ在住の依田香桃美氏・・・

面白かったですね。
この座談会は企画展示の「古代技術の保存と復元」の記念に開催されたものです。
復元には現状復元や、その制作当初の姿に復元する等色々種類があります。

たとえば、これは福島県の古墳から出土した馬具の復元展示です。古墳からは錆びた金具等が出土しただけですが、その金具を古代技術を推測しつつ復元し、全体像も復元している訳です。最近の展示がすごいのはこの馬さえも、古墳時代の馬を日本古来の馬から推測していることですね。この馬は宮崎県の馬がモデルだそうです。



この全体像復元には馬型埴輪が参考になっているのです。



馬の腰のところの飾り「杏葉(ぎょうよう)」なんかもそっくりでしょ?!

金属製品は出土と共に劣化が急速に進みます。最近では保存技術も進歩しているようですが、現状でのレプリカを作成することも積極的に行われています。また他の博物館での参考展示等にも役立ちます。型をとった樹脂に着色するのですが、その技術もスゴいものです。次の写真は銅鏡ですが右側が本物で、左側がレプリカなのですが言われないと全くわかりません。

ただ、本物は若干ずつでも劣化が進む等変化していくので段々差が出てくるのでしょうね。
本館で展示されていた東大寺戒壇院の四天王像(確か増長天)も模造品を作った際には現品にあった塗料や金線が今ではこの模造品でしか確認出来ないようになっているとか・・・こういうレプリカ・模造品の製作も重要な仕事であることがわかります。

もうひとつ。これは衝角付兜という古墳時代の兜です。額部分の張り出しがカッコいいものですが、これは上部から正面にかけてのかけらのみが博物館の所蔵品で、そのありようを示す為に台として兜全体を作っているのです。また、下側の部分の破片は個人所蔵で、その部分はレプリカがついているという、パッと見にはわからない、非常に複雑な兜なのでした。