ローワン・ジェイコブセン著「ハチはなぜ大量死したのか」

ハチはなぜ大量死したのか

ハチはなぜ大量死したのか

表紙のグロテスクな写真はミツバチ頭部の拡大写真です。まるでエイリアンのようなその姿は我々の近くを飛び回っているミツバチとはとても思えませんね。
ただ、そのミツバチが養蜂家の元から忽然と姿を消してしまう、CCD(蜂群崩壊症候群)が世界的な大問題になっているのをご存知でしょうか?
この著者はその原因を追いかけていきながら、ミツバチの生態にせまっていきます。
ミツバチといえば、我々にとってあの甘〜いハチミツを提供してくれる存在と思っていませんか? そうだとしたら、それはとんでもない誤解です。現在、ミツバチに一番お世話になっているのは果実や野菜の受粉作業なのですよ。
ミツバチを含む受粉昆虫が姿を消したら、我々の食卓は全く貧相なものになってしまうのです!!
著者が朝食の食卓を見渡すと・・・ブルーベリーもリンゴもメロンもコーヒーもアーモンドも、そして牛乳の提供元である牛の食料であるクローバーやアルアルファも、キューリやズッキーニのようなウリ科の野菜類全てもミツバチの受粉があってこその食べ物だったのです!!!
では、CCDの原因は一体何なのでしょうか?
この著書はそれをひとつひとつ検証していきます。
やはり農薬か? それとも遺伝子組換作物か? はたまたストレス? ミツバチヘギイタダニというダニの発生か?
新しく現れたネオニコチノイド系農薬か? ネオニコチノイド系農薬とは、簡単に言えばニコチンですよ。種をその農薬に浸しておけば、その植物が成長してもその効果、害虫の精神系統を麻痺させる効果が持続するんですよ。農薬を撒布しなくていい、環境にやさしい?といわれる農薬なんですが、ホンマかいな? ミツバチも方向性を失って巣に帰られなくなったのか?
いやあ、面白くも怖い本ですが、一番興味深かったのはミツバチの生態や植物自体のシステムでしたね。

このあたりを一度熱く語りたいんだけど、今度時間ある?









後記
訳者あとがきでニホンミツバチはCCDにあまりかかっていないとされていましたが、そうは言っても日本の養蜂家もセイヨウミツバチを飼育しているので問題化しています。たとえばこんな毎日新聞の記事もありました。

http://mainichi.jp/select/today/news/20090422k0000e040073000c.html