伊東成郎著「新選組 二千二百四十五日」


久し振りで懐かしみながら新選組物を読みました。

新選組 二千二百四十五日 (新潮文庫)

新選組 二千二百四十五日 (新潮文庫)

最初に読んだのが司馬遼太郎の「燃えよ剣」!! あの土方の格好よさには男ながらしびれましたね。出来はしませんが、斯様に生きたいと思ったものです。その後、下母澤寛の新選組3部作「新選組始末記」「新選組異聞」「新選組物語」等を読み、自らが東京に異動になってからは日野や天然理心流の道場、試衛館があった牛込二十騎町や伝通院等のゆかりの地を訪ね歩いたものです。
題名の2245日とは近藤勇土方歳三らが幕府の浪士募集に応じて上洛、会津藩お預かりになった日から土方歳三箱館(函館)で戦死するまでの約6年間を指します。勇30歳・歳三29歳・沖田総司22歳(いずれも数え年)からの6年間、(もっともその1年前に勇と総司は亡くなってしまうのですが・・・)それまで全く無名であった彼らが歴史の表面に登場し駆け抜けていった爽快さ、また敗者側に組みし敗れ去っていく無念さが我々を惹きつけてやまないのですね。
日本史では他では楠木正成が近いかもしれません。あとは家柄はいいものの源義経も同じような側面を持っているといっていいかもしれません。(現在でも小泉郵政選挙で一挙に当選した小泉チルドレンなどは、本来なかなか国会議員にはなれなかったでしょうから活躍次第では面白い存在になれたかもしれないのですがね。特に杉村太蔵なんて登場の仕方はユニークだったけどな・・・)

この本は最近見つかった資料も取り入れて2245日の前後に渡り、わかっている史実だけで語っていく平成版「新選組始末記」ともいえる名著ですね。
巻末にある菊池明氏との特別対談「同時代人が見た新選組」もいいですね。新選組が京都三井両替店に千両を出してくれと依頼した時の三井側の狼狽振りが面白いなあ。
「この新選組とはどういう役目をされてるところか、領地はあるのか?いろいろ噂も聞くけど訳がわからず・・・どうしたものか」(現代語訳しました)
京の町の人にはわからなかったのでしょう。幕府直属の役目ではなく「会津藩お預かり」ですからね。
新選組好きには必読の書、そうでない人にも一読をお勧め出来る一冊です。









注・・・この本は2003年に河出書房新社から「新選組決定録」として出版されたものを、文庫化にあたり全面的に改訂を行った本とのことです。